俘虜郵便 〈赤十字経由〉
敗戦の年(1945)ブカチャチャ抑留収容所に入ったのは10月である。この年の冬、ブカチャチャ(チタ地区)は、シベリア中で特に気温が低かった。厳しい冬、なれぬ労働・劣悪な食料事情・衛生環境などなど、苛酷の上にも苛酷であった。
戦没者の大半はこの期間に集中している。
こんな経験をした者が書く俘虜郵便だ。ソ連当局もピリピリしたことだろう いろんな制約のもと書いたのがこれである。検閲しやすいよう、全文「片カナ」書である。
抑留中、たった1回だけの通信である。貴重な葉書が家に残っている。
表
俘虜用郵便葉書(往)
(受信人) ・・・・・・・ (同住所) トウキョウト・・・ ─────────────────────── (発信人)
俘虜の氏名 ・・・・・・・ 俘虜の住所 ソヴィエトレンポウウラヂオストックシショバコダイ・・ゴウ |
裏(縦書き)
タイヘンゴブサタイタシマシタ。トツゼンニオタヨリモウシアゲマス。
チヽウエハヽウエゴケンショウデアリマスカ。
・・・ハケンザイデアリマスユヱ ゴアンシンクダサイ
アニヤオトウトカラレンラクアリマシタカ
・・・クンルスチュウハ ヨロシクタノムゾ
デハマタ オショウガツモチカイコトユエ ナニカトイソガシイコトデショウ |
2008.5.9記