兵隊・抑留記(67) 精神的肉体的暗黒期
抑留初期 - その1
☆ 〔抑留初期・(1945・冬~46年4月まで)〕
抑留という精神的虚脱感と、この年ソ聯でも希に見る寒波(マローズ)に見舞われるなど、急激な環境変化に対応出来ぬ者続出。農作物の不作による食糧事情の劣化。居住衛生環境の劣悪。等々‥‥‥と重なり、戦没者の八割以上がこの時期に集中しているのである。
この抑留初期は精神的肉体的暗黒期と名づけよう
・ 兵舎の空間は二段に仕切り、この狭い空間に我々抑留者を定員を越えて
押し込んだこと。
・ 給食は給食材料の不足に加え、炊事能力が不足していたこと。
例として、食事に少量の《生煮えの大豆》が配給されたり、調理をして
いない(調理が間に合わない)《乾燥した数の子》がそのまま、配られた
りした。
当然、栄養のバランスは考えられず、春先には野菜が不足し、抑留者の
多くが、歯ぐきから血が出るという始末だった。
・ 食堂がなかったため、食べ物を飯盒(はんごう)に受け食事は兵舎で行っ
ていたこと。このため、《食べ物の落とし屑》などを餌に蠅が大量発生す
るなど、居住環境は極度に悪化して行ったのである。
・ シベリアでも希に見る寒波(マローズ)の年であり、急激な環境変化に
対応できない者が続出したこと
・ 風呂などに入る機会は極度に少なく、全身は垢のかたまりであり、シラ
ミの巣であったこと。
等々、体力の低下と不衛生の中で、《栄養失調》、《発診チフス》に襲
われ、多数の戦友を失うという惨状を極めたのである。
つづく