兵隊・抑留記(57) 炭坑労務を志願
抑留 - その7
収容所(ラーゲリ)は外柵や兵舎(バラック)が、一応それなりに整備された10月下旬、第3中隊(I隊)から炭坑労務者(第一次)が選抜され入坑した。“俺”は炭坑町に来たからには第二次、第三次‥‥と炭坑労務の要求があるな。と、思っていたところ、果たせるかな11月上旬になって第2中隊(T隊)に入坑者募集があった。
“Tからの脱出”を考えていた“俺”は、少なくとも炭坑での作業中は“奴”の顔を見ないで済む。と、考えて、早速この機会を捕らえて炭坑労務を志願したのである。
念願叶い“T”から脱出できたのである。これで、少なくとも、作業中は“奴”の顔を見ないで済む。
経緯はわからないが、大分経ってから気がついて見れば、いつの間にかI隊の中に“一労務者”として、潜り込んでいたのである。
これは支那戦線ではI中隊の一員として転戦していたが、I隊の古兵とは接触少なくなじみが薄かったため、認識が遅かったのではないかと思う。
これは〔I隊長が(Tと“俺”の折り合いが悪い)との噂を知り、真っ先に救いあげてくれたのかもしれない。
つづく