兵隊・抑留記(38) 轟々たる急流…破壊された鉄橋を渡る
独立工兵聯隊 Ⅱ - その7
線路上にはトラック2台後部と後部を連結しタイヤを鉄道車輪に換えた車両があった。荷台に便乗、顎紐(あごひも)を掛けてはいるが軍帽が飛ばされそうな猛スピードで橋梁上を突っ走る。このままブレーキが効かず黄河に転落するかと危ぶまれる位の速さだ。急ブレーキがかかり爆破地点である。下車‥‥‥。
爆破によりワン・スパン橋梁が欠落している。爆破による破損鉄骨などは既に撤去されたのか無かった。
下流側の橋側より艦船でよく見る網状の縄梯子が垂れ下がっている。高さ10数m以上はあるだろう。下は轟々たる急流、大黄河である。縄梯子を降りる。下は民船による急造舟橋だ。舟橋は矯脚に何本ものワイヤー等でしっかり固定してあるが、舟橋は上下に激しく揺れている。転落しないよう慎重に舟橋を渡ると今度は縄梯子の登攀だ。橋梁上ではトラック貨車が待っててくれた。
K閣下・鉄道工兵旅団の気配りに感謝して大黄河に別れを告げる。
夜になって新郷に到着す。久方振りの客車である。電灯がこんなに明るいと
は‥‥‥。京漢線を北上する。
つづく