風呂と兵隊 (2)
現地人の生活用水は河川の水である 井戸はみかけたことがない 水桶二つに川の水を汲み天秤棒を通して担ぐ姿をよく見かける
川は大地を削りながら流れるので 土色に濁っている どれくらいの濁(にご)りかというと 川の中に手を入れると 入れたところから見えない もし魚が居るとしたら 魚同士どうやって交信しているのだろう(余計な心配しないで 話を本題に戻そう)
汲んだ水はこのままでは使えない 住居内の竈(かまど)の脇に大きな水瓶が三つ程置いてある 汲んだ水は水瓶にあける
一晩おいて土砂を沈殿させその上澄みを生活用水にするわけだ
水瓶の大きいのは大人一人かがめば入る
よし これで「瓶(かめ)風呂」を作ろう 瓶に湯を入れて……ではなく(大体湯を沸かす大きな釜なんて見当たらない)煉瓦(れんが)でカマドを作りその上に水瓶を置く 瓶の底を火で炙(あぶ)ろうと言うわけだ(カマドといっても簡単である 煉瓦を数段積んだもの二筋 瓶が安定するくらいの空間あけた上に水瓶をおく)
これで準備完了 瓶に水を張り カマドに火で瓶の下から炙った 効率は悪かったがなんとか入れるくらいの湯加減になり さて入浴 片足が入り両足が底につくやいなや 『ガボッ』瓶の底が抜けた
幸い人間は無傷だったが 失敗である
釜風呂のイメ-ジから脱却できず 「水を沸かすには 容器の底を炙るものだとばかり思っていたとは」
水瓶の底は水圧(水の重量)に堪えるよう内側に凹んでいる ところが(水の重量)+(体重)には壊れてしまったのである
そこで俺は考えた 当たり前のことだが
・瓶底を補強する
・瓶の側面を暖める
先ず 瓶底の内側(凸レンズ状)に凹んだところを 土で埋め(土に水を加えよく練ってダンゴ状した上に瓶を置きよくなじませる 瓶の縁から余分な土が出ればOK)
次に瓶の廻り すこし離して煉瓦を積む 煉瓦は上部を瓶側に絞りながら一番上は瓶に密着させる 隙間は土で塞ぐ 一方を焚口の穴とし 反対側に煙出穴を設け出来上がりだ
煉瓦と瓶の間の空間が炎や煙の通り道である
写真は 痩せたニヤついた男が瓶風呂に入っている 印画は60×45ミリメ-トルだから写真機はセミキンカだ 天津時代の後半 ある討伐作戦でのある部落だろう
2008.01.10 記
