風呂と兵隊 (1) | SAPPERの兵隊・抑留記

風呂と兵隊 (1)


 兵営内の風呂は 浴槽は木製であるが 大きい 15人程度は入れるだろう 入浴順序は内務班単位でである   入浴が一番先の時は大変である 浴槽の湯はキンキンに沸いている 熱くてしり込みする 少しでも水を入れようとすれば 風呂当番の古年兵から「コラッ うめるな」罵声が飛ぶ
 
 戦友仲間から 貴様から入れとご指名だ
 
 俺は言う「湯に触るな」
 
 ゆっくり片足から入る 兎に角熱い 両足を入れ 尻が湯に触る頃が一番熱い 次は臍(へそ)のあたりか
 
 後は首までスム-ズに入る 結局皮膚と熱い湯との間に体温で幾らか冷やされた水膜が出来るのではないだろうか 出るときは ゆっくり入りと反対のことをやればいい  浴槽に一番長く入っていたのは 足だ 赤くなった皮膚 特に膝から下は真っ赤でヒリヒリする 火傷寸前である 後は冷水を頭から被って さっさと風呂場退出だ
 
 のろまの俺にとっては上出来である
 
 不思議なもので 一人入ると次々入り 班全員が入浴完了時には 熱いけれど入れない温度ではなくなる 入浴順がおしまいの方に近づくにつれ 浴槽は濁ってドロッとしたぬるい湯が膝位までしかない ということになりかねない
 
 効率の悪い風呂釜を預かる風呂当番としては 罵声も もっともなことと理解される
 
 初年兵最初の2~3ヶ月間(冬の天津一番寒い頃)は 石鹸・歯磨きなど使ったことはないと記憶する そういえば手は皹(あかぎれ)て痛かったなあ
 
 
               2008.01.09補足01.12 記