兵隊・抑留記(22) 偽装爆弾に注意
召集 独立工兵聯隊 - その5
歩兵の進軍した後、ようやく、工兵の出番である。不急の資材、天幕等の衣料を崖下に残し、身軽になって台地全面に散在する地雷の撤去作業に従事した。
現役時代、地雷の撤去訓練は一応受けてはいるが、実際の地雷に接するのはこれが始めてである。最初は非常に緊張した。撤去は慎重の上にも慎重である。
地雷の探索用具については、前にも書いた。木の柄に鉄線(6番線ぐらい)をくくり付け、それを地中に刺して伝わるわずかな感触を感知して地雷を掘り当てるのである。非常に原始的であるが信頼性はなかなかのものであった。
中には、地雷本体と信管との間にびっしり土砂が入り込み、作動しないものもあった。
地雷掃討中、高台に出た。歩兵の最前線で日の丸の旗を大きく振っているのが見える。友軍機がそれに答えて、敵陣に爆撃を加えている。
野戦重砲の凄ましい音が、ゴーッ ゴーッと頭上を走る。重機関銃が発射音ドッドッドッと400~500mぐらい先の敵陣に吸い込まれるように着弾する。
負傷者が何人も後方へ下がってくる。担架で下がる人もいる。道の脇には歩兵の戦死者か、衛生兵が小指を切取り認識票や名札と共に雑嚢に納めている。印象的だ。攻撃開始から時間は僅かしか経っていない。これが戦争である。
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地雷には、円板状のものと柄付き手榴弾型のものがあった。このうち柄付き手榴弾型地雷は、わざわざ目に付きやすいところに4~5個ずつ並べて置いてある。敵が退却の際置き忘れたのかと、うっかり持ち上げるとその場で爆発する仕掛け(瞬発信管)のものであった。
柄付き手榴弾の構造は柄の中心は空洞である、紐はこの穴を通して信管に接続し紐の他端には指にかけるリングがある。リングに指を入れ柄を握って遠くに飛ばす式の手榴弾であるが、なぜか、われわれには地雷用、本来の手榴弾用の見分けつかない。現場で紐を切断する。この柄付き手榴弾型地雷の撤去は他分隊がおこなったのだと思う、“俺”の分隊が撤去したという記憶はない。
円盤型地雷については“俺”の分隊だけでも20~30は撤去したと思う。
つづく