みなさま、こんにちは。

ナースWですウインクキラキラ

 

今回は静脈麻酔について記載していきます病院薬

 

 

【静脈麻酔とは】
静脈麻酔とは、静脈(血管)に麻酔薬を注入し、意識や全身の痛みの消失を促す全身麻酔法のことです。
術中に痛みが伴うと円滑に治療を遂行することができず、また激しい痛みにより患者に多大な負担がかかってしまいます。
麻酔薬を使用することで痛みから患者を守ることができ、さらに手術がスムーズに行える環境を整えてくれるのですお願い!
医療者としても、麻酔により寝ていることにより、全身状態が管理しやすくなるため、とてもありがたいのですニコニコキラキラ
全身麻酔法には静脈麻酔のほかに吸入麻酔もあります。
静脈麻酔は麻酔薬が血液を通って速やかに脳に届くことから意識の消失・鎮痛が早く、また鎮痛の効果が高いために、吸入麻酔よりも積極的に行われています。
ただし、近年では静脈麻酔と吸入麻酔を併用することもあります。
素早く意識の消失・鎮痛できる非常に便利な静脈麻酔ですが、麻酔時には意識の消失に伴って自発呼吸が弱くなり、また舌根沈下などにより気道の閉塞の危険があります。
そのため、気管挿管などによる人工呼吸措置が不可欠となります。

また、術中に意識が急に覚醒する、ショック症状が発現するなど、緊急処置を要する事態も起こり得ます。看護師もしくは医療従事者は術中の患者のバイタルサインや全身状態を入念に観察することが求められます。


【静脈麻酔の利点・欠点】
静脈麻酔は吸入麻酔と比べて即効性や鎮痛効果に優れています。
全身麻酔は下記の4Aと呼ばれる効果(利点)があります。
・無痛(Analgesia)
・健忘(Amnesia)
・無意識(Anesthesia)
・不動(Akinesia)

この“4A”を達成することができるため、痛みを感じることなく、また出血など手術に際する嫌な記憶が残ることなく、円滑かつ安楽に手術を遂行することができますルンルン

その反面、静脈麻酔には欠点がありますショボーンガーン
脳内にどの程度、麻酔薬が効いているか、濃度推定が未だ不確実です。そのため、心電図モニターや酸素濃度測定器を使用し、全身状態を管理します。
近年では意識消失・鎮痛の導入として静脈麻酔を行い、麻酔薬の濃度(肺へ出入りするガス濃度)の測定が容易な吸入麻酔に切り替える医療機関が増えてきています。
 
 
【静脈麻酔の適応・禁忌】
静脈麻酔は非常に有効な全身麻酔法であり、その適応は広範囲に渡ります。脳外科、心臓外科、呼吸器外科、整形外科、婦人科、形成外科など、ほぼすべての分野において実施されており、静脈麻酔単独、局所麻酔単独、静脈麻酔と硬膜外麻酔(脊髄麻酔)との併用など、手術の部位により使い分けられています。

静脈麻酔の禁忌は、基本的に使用する薬剤に準じます
 
【静脈麻酔薬の種類】
静脈麻酔で用いられる主な薬剤は、

・プロポフォール
・ベンゾジアゼピン系
・ケタミン
・バルビツール系
 
が主流ですウインクキラキラ
それぞれが持つ作用によって適応となる症例、禁忌となる症例があるため、患者が有する疾患や常服薬、生活習慣など、さまざまな観点から使用する薬剤を選択しなければいけません。
当院では、ベンゾジアゼピン系のドルミカム、プロポフォールを使用しているため、この2つを中心に解説していきます。
 
<プロポフォール>

円滑、迅速に導入でき、麻酔深度の調整が容易な静脈麻酔薬。
アナフィラキシーを引き起こさないなど副作用を考慮して開発されたこともあり、他の静脈麻酔薬と比べて副作用が少ないのが最大の特徴です。
当院でもプロポフォールを使用した麻酔を実施しておりますウインク
ただし、重篤化しやすいという欠点があります。
作用発現が速く蓄積しないという長所を持っていますが、持続時間が短いことで継続投与ならびに周到なモニター観察が必要不可欠です。
また、小児に対する安全性は未だ確立されていません。
副作用:血管痛、徐脈、呼吸抑制、循環抑制、てんかん様体動、不全収縮、心室頻拍、肺水腫、悪性高熱類似症状など。
禁忌:小児・妊婦・授乳婦、プロポフォールに対して過敏症のある患者など。
 
<ベンゾジアゼピン系>
ベンゾジアゼピン系には、主にジアゼパム・ミダゾラムが用いられています。有名な薬剤としては、レンドルミン、ハルシオン、ドルミカムなどがあります。
当院でも手術の際に使用している薬剤ですウインクキラキラ
抗不安作用・睡眠作用・抗痙攣作用・筋弛緩作用があり、鎮静・麻酔作用が強いのが特徴です。呼吸器系や循環器系への抑制作用も強いため、高齢者に対してはあまり使用されていません。
副作用:呼吸抑制、循環抑制、健忘、運動機能・強調運動障害、神経過敏など。
禁忌:重症筋無力症、急性狭隅角緑内障、ショック患者、帝王切開、ベンゾジアゼピン系に対して過敏症のある患者など。

 
<ケタミン>
体性痛に対して強力な鎮痛作用を有している解離性麻酔薬。
有名な薬剤として、ケタラールがあります。
大脳皮質を抑制し、大脳辺緑系や網様体賦活系を活性化する作用があり、バルビツール系麻酔薬が禁忌となる患者に対して使用されます。筋緊張が保たれ、呼吸抑制が少ないという長所がある反面、覚醒時には悪夢・幻覚・興奮といった他の静脈麻酔薬にはない副作用が存在します。
また、アルコール中毒者には効果が薄くなるため注意が必要です。
 
<バルビツール系>
概要 バルビツール系麻酔薬には、主にチオペンタール、チアミラールが用いられています。
 
溶解性に富んでいるため、中枢神経系に速く到達しますが、同時に再分布も早いことで持続時間は短め。脳圧を下げる作用があるため、主に脳外科で使用され、小児にも成人にも使用可能です。鎮痛作用はありません
 
<すべてに共通する副作用>
麻酔薬全般にみられる副作用には、発熱、頭痛、めまい、悪心・嘔吐、痙攣、などがあります。これら軽度の副作用の発生頻度は高いものの、通常は術後3日以内に収まります。ただし、症状の程度は患者によって異なり、さらに重篤化するケースもありますので、術後には綿密な観察が必要不可欠です。
 
術中合併症
<呼吸器系の異常>
静脈麻酔に用いる薬剤のほとんどが合併症に呼吸抑制があります。注入中は人工呼吸器による呼吸管理を行いますが、呼吸抑制や呼吸筋の筋力低下により、舌根沈下や喉頭痙攣により気道閉塞・呼吸停止が起こることがあります。多くは呼吸が浅く呼吸数が減少するため、気道閉塞などが疑われる場合、または発現している場合には体位や呼吸管理を見直します。

<循環器系の異常>
麻酔薬による循環器系への合併症には、血圧下降・上昇や脈拍数の減少・上昇、不整脈などがあります。多くは経過観察で問題ありませんが、急激な変化がみられる場合には麻酔薬の注入速度を遅くするなど慎重投与を行います。
また、循環器系の変化は起こりうるさまざまな合併症と起因していますので、患者の全身状態を注意深く観察しなければいけません。急激な血圧の下降がみられる場合には患者の頭部を下げる、血漿増量剤・昇圧剤を投与するなど、循環器系の各合併症に対して迅速かつ適切な処置が求められます。
 
<急激な体温の上昇>
急激な体温の上昇がみられる場合には悪性高熱症が疑われます。40℃以上の高熱に加え、頻脈、チアノーゼ、アシドーシスなどの症状が発現すれば悪性高熱症の可能性が高いと言えます。
悪性高熱症は重篤化しやすく死亡例も報告されているため注意が必要。疑われる場合には直ちに麻酔薬の投与を中止し、ダントロレンの静注と全身冷却により対処していきます。

<アナフィラキシーショック>
アナフィラキシーショックは麻酔薬に起因する最も重篤な合併症の1つです。呼吸困難や気管支痙攣などの呼吸器系症状、血圧の低下、失神、全身的な蕁麻疹、口唇・舌の浮腫、痙攣など、発現する症状は多岐に渡り、使用薬剤によって、また患者によって異なります。約90%は麻酔薬の導入後すぐに発現し、対処が遅れれば命に関わることもあるため、迅速かつ適切な処置が必要不可欠。
一般的には、気道の確保、呼吸・循環管理を行い、アドレナリン・ステロイド・抗ヒスタミンなど状況に応じて適切な薬剤の投与とともに補液を行い改善を図ります。
 
<術中の覚醒>
術中に覚醒する患者は約0.2%と統計されています。覚醒する因子には術前のタバコやアルコール摂取などの生活習慣、術前のコンプライアンス不良(絶飲食など)が関与していることが多く、また麻酔薬の投与量・投与速度も深く関わっています。
全身麻酔すべてにおいて鎮痛するため、術中に覚醒しても痛みは感じません。
 
<まとめ>
静脈麻酔は手術の円滑化、患者の負担軽減において非常に有益である反面、常に副作用・合併症のリスクがつきまといます。
正しい知識で実施することにより、リスク回避だけではなく、自身も楽に施術を受けられるようになります照れ
当院では麻酔薬を数種類常備しております。
まずは医師にご相談くださいウインク
 
ナースWでしたウインクバイバイ