『いいものは、あきが来ない。きもののもうひとつの楽しみは、季節のかわり目に、箪笥をあけて、防虫香の香りとともに、去年のきものを取り出すとき、まるで新しいきもののように感じることでしょう。本当に『衣更え』という、新鮮な気持ちがするものです。(略)昔から、きものは人間の肌身に一番近いものとして、ひいてはその人自身のように思われた例は少なくありません。「形身」といえば、きものを意味するのも、そのことを物語っていると思います。 だから、きものに対する概念とか態度が、日本の場合は、ぜんぜん違う。単に消耗品としてではなく、先祖の魂を身にまとうものとして、大事に扱ったのも、故なきことではありません。』
白洲正子著 『きもの美』 より抜粋
白洲正子著 『きもの美』 より抜粋