「夫婦の生活」
良妻どこから見ても典型的な良妻賢母がいた。
むろん旦那様に対してはかゆい所へ手の届くような世話の仕方で、咳払いすればお茶をもっていゆき、煙草をくわえればマッチをする。出がけには靴の紐まで結ぶといったような至れり尽くせりの奥さんであった。
ところがどうしたことか、夫はそんなにも良い妻を捨ててしまった。
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ほんとうの良妻というものは、見て見ぬふりの出来る人であろう。
兼好も利休も「本物は不完全なものがいい」といった。
(「サンデー毎日」1953年9月20日号)より

白洲正子「金平糖の味」新潮文庫
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