ポエム

「夕刻」

 

夕闇に浮かべ
唐草にまたがった一匹のヤゴ
風に吹かれてははためく郷愁の思いは
空の彼方へ吹き飛んでいき
地平線へと消えていく
私は一人原っぱで佇んでいる
空を見上げては
寂しく溜息をついている
眼に映るものは歪んだ川の底のように
視界はぼやけ
枯れ草は大空へと舞っていく
秋の寂寞が
この何にもない空間を彷徨い
途方に暮れた私の鼻先で小さく踊っている
何もかもが辛辣に
何もかもが呆然と
私はただ空を見つめて想っている
平穏と平和を
そして心に染み渡っていく苦渋の汁を
私は飲み続けている