一年以上前、

息子のたいちゃんの保育園探しに奔走していました。

 

保育園て、どんな風に選んだらいいんだろう。

我が家の教育方針かぁ…特にないなぁ…。

 

とふわふわした状態で、

一番最初の園の説明会に参加したところ、

 

保育園に求める一番大切なものがわかったというお話です。

 

 

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一番最初に行ったのは、夫が知人から聞いて推していたところ。

 

そこは保育園というか、私立の園なのですが、

数年前から2歳児も入れるようになったとのこと。

ひと昔前は運動のスパルタ教育的な感じで有名なところだったらしいです。

 

体力もつくし、

甘やかすよりも厳しく育てた方が後々絶対いいという夫。

 

そうかなぁと思いつつ、

説明会の日を迎え、夫とたいちゃんと3人で園に到着しました。

 

説明会中、子どもは預かってくれるとのことで、

たいちゃんは女性の先生と共に別室へ。

 

スーツで迎えてくださった職員の皆さまも

親切で丁寧でした。

 

 

説明会が始まる前に、お手洗いに行こうと、

大人用のお手洗いを借りたところ、

 

 

 

 

 

 

えっ。汚・・・・・・

 

 

と思いました。

 

朝一番のトイレなのですが、

床には髪の毛やホコリが落ちており、

洗面台にはキレイキレイのハンドソープが置いてあるのですが、

白いはずの容器がかなり黒ずんでおり、

 

「どんな汚い手で何年触り続けたらこんなに黒く?」

 

と思いました。

 

 

職員の皆さま忙しいだろうし、

掃除が行き届いていないのは仕方ないのかもしれない。

いやでも。

今日は保護者への説明会で、

当然お手洗いを使う人もいるわけで、

せめて今日くらい綺麗にしておこうみたいな、

そういう想像力を働かせる職員がいないということは、

子ども達の細やかなところにも気が回らないのでは。

深読みし過ぎかな。

汚いとか気にならないくらい毎日汚いのかな。

一日中説明会で忙しくて、

夕方の会から汚れているならともかく、

朝一番からこんなに髪の毛落ちてていいの?

 

と、いろんな不安と疑問が頭の中をグルグルしたので、

 

説明会場に戻って夫に、

トイレが汚かった旨を伝えると、

 

夫は、

 

 

「ふーん」

 

 

と言っていました。

 

 

やはり私が考えすぎなのか。

 

 

説明会場の体育館も、なんとなく汚いのですが、

それは建物自体が古いので仕方な……

 

 

エアコン、ホコリがベタベタに積もり過ぎじゃない?

 

 

定期的にエアコンの掃除してるのかな……

あんなエアコンの空気毎日吸って子ども大丈夫かな……

 

私が考え過ぎなのかな……

 

 

説明会が始まり、

園長先生が園のことを丁寧に説明してくれます。

 

逞しくスポーツマンのような男性の園長先生。

ハキハキと好感度のある話し方で、

信頼できそうな方だなと思いました。

 

 

 

夫は説明会の途中から仕事の電話のため席を外していたので、

私一人で質問タイムに臨みます。

 

特に気になっていたのは、

この園で、

過去にスイミング中に園児が亡くなったという悲しい事故のこと…。

 

でもそんなこと聞ける雰囲気ではないのかな…。

 

と思っていたら、他のお母さんが手を上げ質問しました。

 

 

「水泳の授業って、先生何人くらいで見るんでしょうか?」

 

 

 

 

会場に緊張が走りました――

 

 

 

恐らくそのお母さんも、

この園の過去の事故が気になっていたのでしょう。

その後どう改善されたのかなどを

遠まわしに聞きたかったのだろうなと思います。

 

そして園長も、あの事故のことを言ってるんだろうなと察知し、

 

 

 

明らかに機嫌が悪くなりました。

 

 

 

 

「先生二名と、補助の先生一名で見てます」

 

 

とのお答え。

 

そこから他のお母さんがもう少し追及した質問をしたところ、

 

 

「だって60センチですよ? 水の深さ。こんなもんですよ?」

 

 

と園長は若干声を荒げました。

 

何かを察したお母さんはそれ以上の質問を控えていました。

 

 

60センチ…。

大人には浅くても、身長90センチの子どもには深いんじゃ…。

安全性に対して園長がこんな感覚でいいのかな……。

 

とドキドキしましたが、

私が考え過ぎかなと思いました。

 

 

会場の空気が悪い――

 

 

園長が気分良く答えられる質問をしなくてはという

使命感に駆られました。

 

 

「園長のお子さんも、こちらの園に通われていたとおっしゃってましたが、

この園に入れて良かったなと思うのはどんなところでしょう?」

 

 

園長の声が和らぎました。

 

「そうですね。

うちの子今、小学校の高学年なんですが、

ここで運動して体力がついてたせいか、

小3まで全然風邪引きませんでしたね。

小4からはよく病気になってるんですけど(笑)」

 

 

小4で効果切れてる……。

 

 

「あとはうちの子、漢字が苦手なんですけど、

小学3年生の漢字から復習してやってますよ。

泣きながらでもやってます」

 

 

 

期待してたのは

この園のおかげで

他の子より運動が得意だから

サッカー部でもエースになって

自己肯定感高まってる、

みたいなキラキラエピソード。

 

 

 

その後は園内の見学。

 

 

園に併設されたカフェテリアも、園長が誇らし気に紹介してくれます。

 

 

「このカフェテリア、保護者の方は自由に使っていただけますし、

近隣の会社の方もここでお茶飲んで休んだりしてますね」

 

 

 

 

……汚い。

 

 

 

なんだろう。建物が古いからか、なんか汚い感じする。

なんで全体的に黒い内装なんだろう。

空気が、空気が淀んでいる気がする。

 

 

 

カフェテリアからは園のグラウンドが見えます。

 

「グラウンドは、今日みたいに社会人の方に貸し出したりしてます。

うち私立なんで経営も考えなきゃいけないのでね」

 

 

グラウンドでは、社会人の方たちがサッカーの試合をしていました。

 

ほうほう。こういう取組みをされているのか。

たしかに収入になるしな。

でも何だろう。。

うまく説明できないけど何か…何か違和感が……。

 

 

 

説明会が終わり、

別室にたいちゃんを迎えに行きました。

何して遊んでるのかなと思ったら、

 

仰向けで爆睡していました。

 

あらあら。

初めての場所なのにお昼寝できるなんて。

うちの子ったら大物なのかしら。うふふ。

 

 

若い女性の先生たちは皆さん優しそうです。

 

たいちゃんが覚醒するのを待ちながら、

ずっと気になっていたけど園長には聞けなかったことを

女性の先生に聞いてみました。

 

 

「あの、変な質問なんですけど、園のエアコンて、

どのくらいのペースで掃除されてます?」

(この教室のエアコンもホコリがギトギトについていた)

 

 

女性の先生は一瞬キョトンとされていましたが、

優しい声で普通に答えてくれました。

 

 

「一カ月ごとです」

 

 

「あ、そうなんですね」

 

 

 

一カ月でホコリこんなギトギトに積もるの?!

 

 

……エアコンにもいろいろあるのかもしれない。

私が気にし過ぎなのかもしれない。

 

 

 

帰り際、靴を履きながら園長にさりげなく質問をしてみました。

 

 

「あの、変な質問なんですけど、

もし地震が起きて津波がきたら、どこに避難されますか?」

 

「その時は、お隣の会社のビルに避難させてもらう約束ができてます」

 

「そうなんですね(安堵)」

 

「まあでも、この前避難訓練やったら、

二歳児は避難が間に合わなかったんですよね」

 

 

「あ、そうなんですね(えっ…?)。

ま、まあ、このへんは津波なんかきたらみんなダメですもんね」
 

 

「ね。みんな死んじゃいますよね(笑)」

 

 

「そうですよねー(笑)」

 

 

 

 

 

どうしよう不安。果てしなく不安。

 

 

 

 

不安に襲われながらの帰り道。

 

夫に、夫が不在中だった時の質問コーナーでの

園長での受け答えについて伝えてみました。

 

夫は

 

「へえ」

 

と答えました。

 

エアコンが汚かったことも伝えたところ、

 

 

夫は

 

 

「そう?」

 

 

と答えました。

 

 

夫は引き続き、

教育方針とか、園長の好感度などを褒めており、

あの園推しは変わっていないようでした。

 

そうかぁ…

夫と子どもの学校のこととかで揉めたくないし…

夫の推し園をこれ以上悪く言うのも…

 

私が気にし過ぎなのかも……。

教育方針が悪いわけではないし……

皆さん良い人だったし……

 

たいちゃんも楽しく遊んでたみたいだし……。

最後先生たちにバイバイってしてたし……。

 

私が気にし過ぎなのかも……。

 

 

 

 

後日、弟夫婦(アキラとミナちゃん)に、

保育園について聞いてみました。

 

弟とミナちゃんは、

娘のメイちゃんの保育園選びの際、

夫婦で手分けして

15件以上の保育園に見学に行きエクセルにまとめていた、

いわば保育園選びのプロ。

 

 

そんな弟夫婦にトイレやエアコンが汚かった話をし、

「保育園の大人用のトイレって汚いもの?」と聞いてみました。

 

 

「いや、どこも綺麗で清潔でした」とミナちゃん。

 

 

カフェテリアやグラウンドを一般人に貸出す話をすると、


「え? 有り得なくないですか?

園に外部の人が自由に入れるの危険すぎません?」とミナちゃん。

 

 

だよね。

やはり。やはり私の感じた違和感は正しかった。

違和感の正体は「危険」だった。

 

 

弟に聞いてみました。

 

 

「アキラさんとミナさんが、

保育園を選ぶ際に一番大切だと考えること、

重要視していることは何ですか?

 

 

弟は「当然やろ」という顔で、秒で答えました。

 

 

「え? 安全」

 

 

安…全…

保育園に求める一番大切なことは、
安全…!!!

安全だー!!!!

 

 

 

目から鱗でした。

教育方針とかではなく、安全。(あと清潔さ)

 

 

自分がいない時でも、ここでならたいちゃんが

安全にスクスク育つであろうという安心感。

安全の中、安心して預けられる園であること。

教育方針以前にそこがちゃんとしていること(あと清潔さ)。

 

保育園選びについてふわふわしていた私ですが、

弟夫婦のおかげで

当たり前のことに気づくことができました。

 

 

弟夫婦の話を、

虎の威を借る狐的に夫に伝え、

「やっぱり私、あそこの園には絶対入れたくない!」

と言うと、

 

 

夫は

 

 

 

「ふーん。まあなんでもいいけど」

 

 

 

と言いました。

 

 

 

 

 

たいちゃんは今、安心安全で清潔な保育園でスクスクと育っています。