帝王切開手術翌日の朝。

 

助産師さんが透明のベッド(コットというらしい)に入った

赤ちゃんをコロコロと連れてきてくれました。

 

私のベッドの隣に並んだスヤスヤ眠る赤ちゃんを見た時、

 

「可愛い」という言葉が自然に漏れ出ましたし、

 

「可愛い」と言いながら、

ミスユニバースに選ばれた人みたいに両手を口にあてて涙ぐんでました

 

 

近づいて触ったりしたいのですが、

術後の痛みが強すぎて体を動かせません。

 

精一杯近づいて撮った初めての写真がこちらです。

 

 

 

助産師さんが「抱っこします?」と聞いてくれました。

 

したい。でも落としてしまったらどうしよう怖い(そして傷口が痛い)。

 

あぁでも、写真撮りたい。

 

生まれたての子どもと産んだばかりのお母さんのよくあるツーショットみたいな写真撮りたい。

 

 

助産師さんに、抱っこするというか赤ちゃんを横においてもらって

写真を撮っていただいたのですが、

 

私もうボロボロ過ぎて、とても誰かに見せられるような写真じゃありませんでした。

 

 

 

赤ちゃんと一度バイバイした後は、頑張って歩く練習。

ベッドから出て立ち上がれたら、助産師さんたちが拍手してくれました。

 

お腹をかばうように前かがみになりながら、

点滴を引きずって大部屋へ移動します。

 

廊下には同じような姿勢で移動している産婦さん達が。

前傾姿勢の角度によって、

術後何日が経過したのかなんとなくわかります。

 

産後誰もキラキラしてない。

ゾンビが歩いてるみたいな廊下。

そんな中スタスタ歩いてる自然分娩の産婦さんが眩しい。

 

えっと……

今日か明日から、この前かがみの状態で赤ちゃんのお世話が始まるのか。

あれ。結構地獄じゃない?

 

 

痛み止めを飲んだり座薬を入れてもらったりして痛みをごまかしつつ、

助産師さんのサポートを受けながら地獄開始。

 

体のきつさは地獄なのですが、

新生児室で自分の赤ちゃんを見つけると溢れ出てくる喜び。

なんだろう。俺のポケモン感。

 

初めてのオムツ替え。

初めての母乳あげ。

 

出産した途端母乳が出るようになるなんて信じられなかったのですが、

一応出ました。

 

赤ちゃんを守る容器を卒業した後は、

牛になるようにできている女体の不思議。

 

しかしながら、義妹のミナちゃんは

出産直後から良い量が出ていたらしいのですが、

私あまり出ず。…数滴?

 

母乳を飲ませる前と飲ませた後に

毎回赤ちゃんの体重をはかるのですが、

 

 

マイナス3グラムとかになったりしてました。

 

「吸う時のカロリーの方が多かったんだね」と助産師さん。

 

可哀想。私の赤ちゃん可哀想。

 

(それでも日が経つと20グラムくらい出るようになって喜んでたんですけど、

後日ミナちゃんが150グラム出てると聞いた時は、

フリーザの戦闘力を聞いた時くらいの衝撃を受けましたよね

 

 

 

 

 

あまり出ない母乳なのに必死で吸いつく我が子が愛しくて。

 

まだ見えない目で小さな獣みたいに、必死で母乳を探すんです。

 

その姿を見た時、

私はこの子を一生愛してしまうんだろうなと思ったし、

何があろうと一生守り抜こうと誓いました。

 

赤ちゃんはとにかく生きるようにインプットされているんだなと思って、

生きるために生まれてきたんだなと思って、

 

コロナ禍で、

私は不要不急に該当する、

子ども達に映画を届けるNPOをたたむべきかと

悩んだりしていたんですけれども、

 

生き続けることが正解なのかもしれないなと思ったりしました。

 

 

(Photo by Hanae Uchida,Natsumi Harada,Fumi Koriyama)

 

We are the world みたいな。

突然のWe are the worldみたいな写真を貼ってしまいましたけれども。

 

そして突然ポエムを書き出しますけれども。

 

 

一つの命が誕生するまでは、とにかく奇跡の積み重ねだということを、

気の遠くなるような長い時間の中で、息子が教えてくれました。

 

すべての命が尊いのだと体感させられました。

 

 

なのですべての子ども達が、

戦争や差別で理不尽に可能性を奪われることなく育ち、

 

どんな環境に生まれても、夢を思い描いて

 

やがて自分の道を切り拓いていける、

命の花を咲かせられる、

 

そんな世界になるようにと願っています。

 

(以前よりさらにNPOのメンバーに迷惑をかけておりますが、)

1グラムでもいいから、その一助になりたいなという想いだけは

たぶん強くなっていますし、この先も変わることはないのだろうなと思います。