ツインレイの彼とこの星で出会う約束をした場所、ここは移住先として人気の高原の町。ふた昔ほど前、この地に惹かれて移住し10年弱暮らした後に別の場所に引っ越した。好きな場所には変わりはなかったが離婚を機にこの場所を離れた。それからは小・中・高校生の3人の子ども達を育てるシングルマザーとして一気に駆け抜けた。昼はフルタイムで働き10年がたった。上の子ども達は成人し、末っ子の高校進学と同時にまた同じこの場所に戻ってきた。この町は四季折々の自然が美しく、離れていてもずっと好きな場所だった。


再びここでの生活が始まり、就活をしたりもしたけれど何だかどれもピンと来なかった。毎月の収入が無い状況だけれど失業保険や今まで貯金したものを少しずつ使いながら次に自分の進んでゆく道を模索していた。無理に就職してしまうとまた日々に追われてしまい目の前が曇ってしまうのがわかった。10年前と同じことはしない、新しい生き方をする時がやってきたと感じた。コレだ!という決定的な手段は見つからなかったが、自然に手が触れてゆくものが今の私に必要なことなんだということはわかった。


高原の町にも春が訪れ、凍っていた大地が緩んでくる頃になると庭に出たくてたまらなくなった。草取りをしたり土を耕したり種をまいたり、球根や苗を植えたり、楽しくて夢中になって体がクタクタになっていることにも気付かずにいちにちが過ぎていった。ハーブを育てる、収穫する、保存する。お茶やチンキを作ったり、お花はドライフラワーにしたりセージでスマッジを作ったりと魔女修行に励んだ。夏には裸足で庭仕事をした。ウッドデッキに布を張り日陰を作って休憩する場所も作ったが、庭仕事に夢中になってしまい休憩もせずにお昼のチャイムで午前中が終わっていた。

裸足で庭にいると体内の水分の情報が書き換えられるような感じがした。最初のうちは海で泳いだ後のように体がだるくなった。心地よい気だるさは体が大地に反応しているからだとわかった。そのうち慣れてくると裸足で庭に出たくて仕方なくなった。アーシングという言葉以前に、本能的にヒトは大地に接続したがっているように思えた。


彼と出会ってからツインレイだとわかるまでの8ヵ月の間、私は何をしていたかというとこの通り毎日庭で何かをやっていた。無理に答を出そうと急がずに自然の中に身を置いた。高原を渡る風と共に歩き、真っ青な空に円を描いて飛ぶトンビや花の真ん中に潜り込む蜜蜂に見入っていた。庭の苺も大収穫だった。甘くて大きな苺が採れた。苺の隣になんとなく植えたボリジが、実は苺の大収穫に一役かっていたコンパニオンプランツだったと後になってから知った。自然の流れに上手く乗っているようでいつもワクワクしていた。導かれるように庭に出て自然の中でたくさんのメッセージをもらっているうちに8月も終わりにさしかかり高原の町に短い秋がやって来ていた。厳寒期はマイナス15℃にもなるこの場所では外では冬を越せない植物もある。その植物は鉢植えにし屋内で冬を越す。外で冬を越す植物には落ち葉のふとんをかけてあげて、シャベルなどが雪に埋もれてしまわないように片付けたり、薪ストーブの薪を家の中に取り込みやすい場所へ移動したりと、冬へのカウントダウンも始まる。


ツインレイと出会うためには、この星での自分たちの意識が計画通りに成長していることが何より重要らしい。お互いが設定した通りの意識レベルに達していないとツインレイとの出会いも統合もお預けになる。課題をこなさないと宇宙からGOサインが出ないのだ。この星に生まれてから魂のカタワレさんには会えるまでの間、紆余曲折な波瀾万丈な人生を歩み様々な気付きを得てゆく。ようやく出会える準備が整ってくると何かが起こりそうな兆しが見えてくる。そしてある日突然雷にうたれたような衝撃と共に一気に恋に落ちるのだ。

ひとりひとりの課題が何かはわからないけれど、彼と私が実践していたことが共通していた。「自分がやりたいことを純粋にやり続けること」自分の人生を生きる。誰が何と言おうと、周りからどう見られようと、昨日と今日と言っていることが正反対であろうと、自分に素直にまっすぐと生きる。まっさらな自分になった時がその時。彼がツインレイだと判明したのもこのタイミング。これが彼との約束の時で、ここが彼との約束の場所だったのだ。彼も私も自分のしたいことをしていた。そこに集中していた。自分が輝けばすべては後からついてくる。宇宙の計らいは実にお見事でしばらく途方に暮れていた私。この後から始まる日々がどれほどキラキラと輝いているのか、この時の私はまだ気づいていない。