リリーッス!サオリリスです。

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6日目

6/20(土)☁古書の店ギャラリー

米子駅から数分歩くと商店街。場所は駅前だけど、地方によくあるシャッター商店街というやつで、店も無ければ人もいない。数年前に一部アーケードの屋根を取り壊し、道も舗装されて通りは明るくなったけど、それが余計に商店街らしさを消してしまって、ますます商店街と呼びづらい雰囲気となった。

そんな商店街にもいくつか店はある。昔から通っていたライブハウス、裏に入ったところのカレー屋、古着屋、オバサン向けのブティックに化粧品屋、未だにCDウォークマンを押すパナソニックの店。
とっくに10年経っているはずだけど此処はあいかわらずで、時がとまっているような、引き戻されたような気になる。嫌ではないけどなんとも言い難い感じ。

これから向かう「古書の店ギャラリー」も、そのうちの一つ。私がまだ地元にいるころからある。一回だけ入った記憶があるけど、その時は場所がもう少し向こうの方にあったと思う。と言うと、店主のナワさんは「そうそう」と言いながら、棚の上の本を私に手渡す。

アーケードの屋根が無くなったことで、窓側の本に日が当たるようになってしまった。日当たりがいいのは結構だが、本の色を焼いて痛めてしまうので、窓側の本を移動したいんだそうだ。

ナワさんの店にはナワさん自身も数えきれない程の本がある。天井まで高く積まれていたり、床にまで散らばっていたり、とても整理されてるとは思えないけど、一応カテゴリー別になっていたり、並べ方にも拘りがあるらしい。

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そんな店を見渡し唖然としていると、後ろのほうから「おっとっと」と声がする。振り向くと、ナワさんが床の本につまづいている。ナワさん自身が漫画の登場人物だ。

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ヤマトやガンダムなどのアニソンが流れる中、ナワさんに渡された本を、指示のあった場所(別の棚の本の上)に置いていく。窓側の棚がスッカラカンになったら今度は別の本をナワさんに渡して、ナワさんはそれらを並べていく。

途中で、「どういう順番でどこに本を並べるか」ナラさんのシンキングタイムが入る。その間私は、店の本を読む。手にとったのは大好きな手塚治虫の『ブラックジャック』。

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自分でも集めている『ブラックジャック』をここでわざわざ読むのには理由がある。このオリジナル4巻には、発禁・未収録作品「植物人間」や「落下物」が掲載されているのである。

ナワさんの店にはこういうお宝がたくさんある。たとえばコレ。水木しげるではなく竹内寛行という人の描いた『墓場鬼太郎』。発刊の経緯はナワさんが説明してくれたが、こんなものがあるなんて知らなかった。
水木しげる版に「ニセ鬼太郎」が出てくる話があるのだけど、もしかしてこの鬼太郎への皮肉なのかもしれない。(個人の感想です)

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ナワさんは鳥取が登場する漫画を研究している。水木しげるや谷口ジローの他にも、鳥取を舞台にしている漫画やコマが、意外にもあるらしいのだ。
ちなみにあだち充『タッチ』(漫画原作版)で、タッちゃんが甲子園の開会式を抜けだして南に会いに行き告白する名シーンも鳥取。

ということは知っていたけど、それ以外にもまだまだあって、ナワさんはそれらをまとめた手作りの雑誌を作ったり、店のHPで紹介したりしている。このHPが、またかなり濃い。
古書の店ギャラリー→http://www.chukai.ne.jp/~gallery/

8月末には『第54回日本SF大会』というイベントも催されるらしい。(http://www.comecon.jp/

古書の店から鳥取を広める活動。なるほど。おもしろい。

古書の店ギャラリー・ナワさん、ありがとうございました。

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