なんにもない。
私にはなんにもない。
人はそんなこと無いって言う。
でも、私にはなんにもない。
才能とかお金もだけど
とにかくやりたいことがない。

TLの流れは早くて
何かを発言したり
発信しなければ
つまらない。

なんにもないだけならまだいい。
TLに、TLで、承認されないと、
私は世界の中でつまらない人になって
取り残されて、私の存在価値はなくなる。
TLの流れに乗れなければ、
他人の中の私がいないのと同じ。

それがとてもこわい。

なにかやらないといけない。

「なんにもないなら実家に帰ってきないや」
前にお母さんに言われたんだけど、
そう言われるのが気に食わなくて
「帰らん」
と言って連絡も取らなくなった。

別に東京だから何ってことはない。

てことはもう自分でもよく知っている。

東京を離れたくない理由もないし、
かといって地元に帰る理由もない。

そもそも、私には免許がない。
田舎では車がないとどこにも行けない。
40分に一本のバスに乗って最寄り駅まで20分。電車も40分に一度。
駅前には人がおらず、
郊外(というかそもそも郊内的街すらない)のジャスコに集まる。
ジャスコは確かにいい。オシャレとは言い難いけど、
それなりのカジュアルな服なら揃うし、映画館もあるし、
31アイスクリームもヴィレッジヴァンガードもある。

絶対知り合いに会うので、
思春期の頃は、
着ていく服や誰と一緒かは結構大事。
家族と一緒だと、なんだか妙に恥ずかしくて、
スマして離れて歩いていた。

そんなたったのことが気になって
今思えばくだらないというか、
誰もそんなの気にしてない。

たったそれだけのこと。

そう、他人にとっては私の
「私ににはなんにもない」というこの問題は、
私という存在すらも、価値も、
はじめから「それだけ」のこと。

あーなんだ。それだけのことだったんだ。
私ははじめから、それだけだったんだ。

「もしもしお母さん?来週そっち帰るけん」