まだ、どこかで父がひょこっと生きていてくれているような気がする・・・父の命日。いつも大事なときにはそばにいてくれると感じることが多いんだけど、やはり、きくことのできない、父の声。辛い時、嬉しい時、無性にききたくなる父の声。たったひとこと、「おお~○○!」といつものあの笑顔で、私の名前を、孫の名前を言ってくれたら・・・といつもいつも思っている。

3年前のあの日。あまりにも突然の別れに、一生分の涙を流した。正直、あの日から、今まで・・・記憶に色があまりない。特に、父が亡くなった日。全てがモノクロの風景の中で、滅多に見ないドクターイエローを東京駅でみかけたときの・・・あの強烈な黄色だけが記憶に残っている。新幹線大好きな息子くんの本でドクターイエローを見るたび、今でも胸を締め付けられるような思いにかられる。

この3年間。母の苦しみと悲しみははかりしれないものだった。もちろん、家族も。もう抜け出せないかと思った。でも、今年に入って・・・ほんの少し前進したような気がする。もっと前を向いて歩かなければと・・・。

大事な人を亡くし残された人の気持ちなんて、きっと当事者にならなければわからない。それだけはいえる。母は、大事な伴侶をなくした悲しみと失望感。これは多分、どんなに理解しようとしても、いまの自分にはできない。私と弟は、想像以上に早く父親をなくした悲しみと失望感。多分、これは母にはわからない・・・と母にいわれた。でも、それをお互いいえるようになるまで、3年、かかった。長いようだけど、私達には昨日のような感覚。時間の感覚が麻痺した3年間。

私は、いまだに、父にできなかったこと、二度と後悔したくないことすら、出来ていない。でも、どうにかしたいと強烈に思った。命ははかないものなのだから、そのときそのときがチャンスなのだと。あの、猛烈に後悔した思いだけは二度としたくない。ただただ、それだけ。

あの日。小さかった孫は・・・すっかりお墓の掃除も上手になり、この日も、隅々まで綺麗にしていた。本当に父に・・・この成長を見せたかった。そして、お花を一緒に買いにいったのだが、息子くん、一言。

「じじにはこのひまわりが入ってるやつがいいよ。お母さんが大好きなお花でしょ。じじ、喜ぶよ。太陽みたいなお花だし、お母さんが大好きなお花が一番喜ぶよ」と。

ひまわりの黄色を見て、モノクロの中の変に強烈な黄色を思い出しちょっと敬遠したわたしだったけど、息子くんのその一言で、ひまわりを選んだ。
$母として。人として。そして、かけがえのない息子へ。-IMG_2613.jpg
いつか、父に会えると信じて・・・。いつも真面目に働き、明るくて、人当たりよかった父に胸はれるようにならないと。お父さん、それまでみんなを天国から守ってね。