荷物を置き自分の席に座った。
席はすでにグループの中で決められていた。
自分たちで決めたものではなく、先生たちが決めたものだ。
バスに乗るときに言われたのだ。
俺の隣はまだ誰もいなかった。しかしほかの班員はそろっている。
(敦が言ってた彩香って子か。。。)
荷物の準備が苦手な俺は寝れなかったため、とても眠い。
実際はこういう行事に、漫画にある体験が起こらないかと期待で寝れなかったのも事実だ。
イヤホンをして音楽を聞きながら眠りについた。
1分もしないうちに意識が飛び目覚めたらバスに揺られていた。
イヤホンをして寝たはずなのだが右のイヤホンが耳についていない。
俺の座席は左側が窓で、ちょうど窓に頭を任せるように寝ていたので
外を見ている状態で手さぐりでイヤホンを探した。
すると隣から聞きいたことがあるような、ないような声がした。
「あ、ごめん。はい、片方のイヤホン。」噂の彩香が笑顔でこちらを見ていた。
黒髪で長さはセミロングといったところ。目はパッチリしているわけではないが
瞳の色のせいかそう見える。こんな子知らない。
「ありがとう。」
俺はそういうとイヤホンを受け取った。
どこかで聞いたような声。ずっと昔に聞いたことのある気がする。
しかし俺にこんなかわいい知り合いはいない。
いや、かわいい子はいるが次元が違う。
「彩香ちゃんだっけ?初めまして平井和樹です。」
少し驚いたような顔をした。それから
「初めまして、佐藤彩香です。よろしくねかず君。」
思わず見とれそうな笑顔で手を差し伸べてきた。
俺は少し慌てて「よ、よろしく。」
いきなりあだ名をつけられ呼ばれたのだ。しかも、こんなにかわいい子に。
そんなことを思っていると
「それより、なんで私の名前知ってたの?」
「敦から聞いてたんだよ。同じ中学なんでしょ?」
「あ、敦から聞いてたんだ!そうだよ!変なこと言ってなかった?」
敦は呼びすてなのかと少し妬きつつ
「全然大丈夫だよ!」と返した。
彩香が安心した顔をしたときバスが止まった。どうやら目的地に着いたようだ。
「荷物を持ってグループごとに点呼ののち部屋に行くように。次の指示は館内放送でするから、部屋で待機。」
先生からの支持を受けて移動を開始する。移動中もずっと彩香の笑顔が頭をよぎる。
部屋は各グループ男女別だ。
基本的に男女3対3で別れているので他のグループと相部屋になる。
ちなみになぜかツインという豪華さ。
荷物を持って部屋に入るとなぜか敦がいた。
「よ、俺と相部屋だな。」
俺が聞いていたのは知らない奴だった。
「なんで、お前がいるんだよ。」
「和樹と相部屋になるやつ同じ中学の奴なんだ。俺と同じ部屋の奴と趣味が同じらしく最初から仲良さそうにしてたから先生に言って部屋割りを変えたんだよ。」
「そんなことで変えれんのか?」
「最初の思い出も楽しいほうがいいし、気のあう人が同じ部屋のがいいって言ったんだ。」
「なるほどな。この宿泊も仲間作りみたいなものだしな。」
そんなことを話していると放送が流れた。
「夕食まで自由行動。夕食後、20時までにお風呂を済ませてロビーに集合。」
「ずいぶん楽な日程だな。」
俺が苦笑いでいうと、敦は
「ま、いいじゃんか。」と笑った。
ベットに座ってさっきの彩香との出来事を話した。
「なんで、ごめん。って彩香は言ったんだ?」
敦がニヤニヤしながら聞いてきた。
「俺に聞くなよ。」
この意味が分かったのは、夕食の後だった。


