夜の空は、手を伸ばしても推し測れないほど、
どこまでも深く広がっていて

遠く鈴虫が鳴くその声の辺りまで、
私のため息は、届くのかしら

貴方のいない夜は
湖の中で漕ぐことをやめた小舟のよう
押し返す波にまかせて漂う小舟の
その心許なさと気安さは、
私をまた遠く一段と深い波間に連れて行く