昔得意先に、話の中で「いわゆる」を連発する男がいた。
世間一般に言われているという本来の言葉の意味とは
まったく関係なく使いまくっていた。
あまりに多用するからだろうと想像されるが
「いわゆる」が「わゆる」に変化していったのを
知っている。
話出す時にあたかも枕詞のように使うのだ。
そのうち「わゆる」が「ゆる」になり「える」
にまで変容していった。

あるときその男の元を一緒に訪ねた同僚が帰路
「あのひとはなぜ話し出す時に「エル」って言うの?」
と訊いてきた。笑えた。