堅い話です。しかも長い。 今日も早起きして、家事を済ませて、時間を持て余してるもので・・・

 

ガイドライン2 です

 

診療ガイドラインは、医療者の経験を否定するものではありません。またガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りません。臨床現場においての最終的な判断は、主治医が患者と協働して行わなければならないことをご理解ください(医療情報サービスより、抜粋)。

 

ガイドラインの大まかな理解を得るためには、いくつかの点についてわかっておく、腑に落としておく必要があります。

 

繰り返しになりますが、下記のエビデンスピラミッドは上に行くほど科学的証拠水準が高いこと、横幅は研究の数を概念的に示しています(わかり易いように色をつけました)

 

では質問です。グレーの研究はどれ程の数になるでしょうか?

35億!(嘘です・・・)

 

 

 

・下から二つ(グレードと赤): ヒトの研究ではありません。生命として・哺乳類として考えられる事、メカニズムとして合理な事かも知れませんが、ヒトに当てはまる保証がありません。このレベルからヒトへの外挿は、そういう事もあるかもしれない、という推量でしかありません。

(ヒトに換算すると、一日○○gを・・・というようなメディア発表が成されます。へ~そういう事があるのかも知れない。将来、ヒトでも証明されればよいなあ、程度の受け方をするが肝要です)

 

・ヒトの観察研究(黄~緑): ヒトの研究ですが、因果(例:ブロッコリースプラウトを食べるとがんが縮小する)を示しているわけではありません。相関(関連)と因果の区別が必要です。林先生の初耳学をご覧になっている方はわかりますね?最近よく出演されている中室牧子氏が、教育学の立場からこれらの事柄を強調しています。相関は因果の一部ですので、その関係は有力であるかも知れません。

 

・無作為比較対照試験、RCT(青): ”因果”を明らかにする方法論、研究のデザインと言いますが、それにのっとって行われた研究です。これがあるかどうかが、まずは基準です。一見わかっている風に見える方でも、その下の水準とこれを区別できてない場合が見受けられます。当然、我々に処方される薬はこれらの段階を経ています。

 ポイントは、AならばBを導くために、それに関係する要素(要因と言います)を出来るだけ排除する努力を払っていることです。研究の質は、その要素の排除をどこまで行っているかによって決まります(専門家はそれを見抜きます)。

 では質問です。その要素はどれくらいの数あるのでしょうか? (やめろっ)

 

・メタアナリシス、システマティックレビュー(紫): 複数の(同種の)RCT研究をまとめて、ある結論を導きだした研究です。信頼性はその結論がネガティブ(Aの薬は効かない)、ポジティブ(Aの薬は効く)のいずれかでも、一つのRCT研究より格段に増します

 

治療方法(薬を含む)は、もし科学的証拠のみに従うのであれば、上の図ではレベル1に該当すれば、すぐにそれを治療法として利用すればよいわけですが、そうではありません(薬剤の場合、この段階は第Ⅱ、Ⅲ相の臨床試験に相当します)。

 

例えば、科学的に抜群な効果が認められたとしても、それが1処方に1憶かかってしまうなど莫大な物理的、予算的なコストがかかる場合は、現実的な治療法として成立しません

 

その先はどうしているかと言うと・・・

 

その領域に関連する”学会”の該当委員会が、科学的証拠の水準とその実用性を、充分な時間をかけてレビューを行って決めています。関連する主要な論文・文献の再評価(委員さんが分担して読んで要約)を行い、要約された結果について十分な時間をかけて審議し、最終的に学会として推奨する治療法(方法)に推奨レベル(科学的水準が若干低くても実用性が高い場合もあります)を付してまとめます。それを編纂したものがガイドライン(治療指針)なるものです。扱う文献数は領域によって違が見られますが、多い場合は数千に及びます(ガイドラインのリストで確認できます)。

 

こうして、(今、受けている? 勧められている?) 標準治療が定義されているのです。

大変な労力がかかってます。しかし、ここまでかけても完全なものはありません。それが現実です(でも安易な、おちゃらけ研究、ひどい場合はそういう一つを信じて行動するよりはずっとずっとすっーとマシです)。

 

いろいろな診療ガイドラインはMINDSにあります(コチラ)。

 

最後に、冒頭で記したMINDsなどで強調されている事(抜粋)を再掲します。

 

診療ガイドラインは、医療者の経験を否定するものではありません。またガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りません。臨床現場においての最終的な判断は、主治医が患者と協働して行わなければならないことをご理解ください(フォント変更は小生によるものです)

 

ガイドラインついては、これで一旦終了と致します。伏線的なことは触れることもあると思いますが・・・