先日、整形外科の帰りに夫とレッドウッドシティのスーパーへ立ち寄った。

車を降りるとき、ブーツギプスの履き心地に気を取られていたせいか

カーナビ用のケーブルにつないでいたスマホをオムツバッグに入れたつもりが、駐車場に落としてしまったらしい。

 

私は人生の中で一度もスマホや財布、パスポートなど貴重品を紛失したことがなかったからショックだった。

妊娠出産したら一時的に脳が変わる(マミーブレイン)というが、このことだったのかな。

 

スーパーに入ってしばらくすると、

私のApple Watchに「iPhoneが近くにありません」という警告が。

車内に置き忘れたのだろうと思い、そのまま買い物を続けたが、戻ってみるとスマホが見当たらない。

Apple Watchも「スマホが近くにない」と表示されたままだった。  

 

慌てて駐車場や周囲を探したが見つからず、

夫が何度も私のスマホに電話をかけても応答がない。

スーパーのスタッフにも確認したが、届けられていないとのこと。

もし見つかったら夫の携帯に連絡をくれると親切に対応してくれた。  

 

仕方なく近くのレッドウッドシティの警察署へ行き紛失届を出そうとしたが、

オンラインで申請するように言われ、そのまま帰宅することに。  

 

車の中でApple Watchを夫のWi-Fiにつなげて「iPhoneを探す」を開いたところ、スマホの位置が判明。

偶然にも私たちの家があるフォスターシティ周辺を行ったり来たりしている。

誰かが持ち去ったに違いないと確信!




 

夫がもう一度スマホに電話すると、ついに男性が応答。

しかし、まともに会話が成立しない。

私たちは不安を感じつつ相手を刺激しないように、できるだけ丁寧に「スマホを返してほしい」と伝えた。  

 

しかし男は「彼女と喧嘩して忙しい」などと曖昧な理由でなかなか話が進まない。

しかも寝ていた息子が異常事態を察知したのか、ぐずり出しカオスな状態に。

 

そこで私がApple Watchからリモートで男が持つスマホに爆音を出した。

更に夫が「あなたがフォスターシティにいることは分かっている。今、iPhoneを紛失モードにした」と伝えた瞬間、態度が一変。


男は慌てて「近くのターゲットに来れば返す」と言い出した。

ただし「生活が苦しいからスマホを見つけた“謝礼”がほしい」と要求。  

 

夫が仕方なくATMで200ドルを引き出し、指定の場所へ向かうことに。

私が行くつもりだったが危ないから行かせられないと夫が制止。

私と息子は車の中で遠くから様子を見守った。 





やがて現れたのは一見普通の初老の男性。

彼は最初にあっさりとスマホを手渡し、夫が100ドルを渡すと、

「電話越しに赤ちゃんの泣き声が聞こえた。スマホを返さなきゃいけないと思った」と話したそう。


なら最初から返してほしかったんだが…

何か思うことがあったのかな。

 

結局、彼が良い人だったのか悪い人だったのか分からない。

ただ、スマホが戻ってきた安心感と、

なんとも言えない複雑な気持ちが入り混じった出来事だった。

 

アメリカでは、運が悪いと落とし物にもお金がかかるということかショボーン