2020年度灘中入試算数二日目を総括する | 算数ソムリエブログ-中学受験突破のために-

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昨日、行われた灘中入試二日目。

 

算数の問題を解いてみて一番の感想は、

 

一日目、二日目、両日ともに最後まで解きやすい

 

です。

 

オォ!と唸る問題は無く、分析を伴わせて過去問に取り組んだ人にとっては、「ああこのタイプか」と割とすぐに判断でき、解法に迷うということがほとんど無く最後まで解ききれた人が多かったのではないかと思います。

 

各平均点も以下のようになっています。

↓↓↓↓↓

算数Ⅰ 受験者平均 55.4点  合格者平均 72.0点 (差16.6)

算数Ⅱ 受験者平均 55.4点  合格者平均 71.2点 (差15.8)

 

合格者平均が算数ⅠⅡともに70点をこえるというのは、相当久しぶりの出来事です。数字だけを見ればあんまり変化が無いとか、2年前と比べるとそれほど大きな変化が無いとか元に戻っただけとかそんな論調も見かけますが、その数点の差にある大きな差を見て取る分析力が無いか…細かな内容分析をしないままに意見しているか…いずれにせよ、表面的な数字やデータから読み取れる情報だけで安易な判断をするのは愚の骨頂です。

 

 

ちなみに去年【2019年】と比較すると

算数Ⅰ 受験者平均 38.5点  合格者平均 49.8点 (差11.3)

算数Ⅱ 受験者平均 44.5点  合格者平均 56.8点 (差12.3)

ですから、あまりにも大きな差があります。。

2018年度以前を見てみても、2020年度が特殊であるのは言うまでもありません。

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【2018年】

算数Ⅰ 受験者平均 52.6点  合格者平均 66.5点 (差13.9)

算数Ⅱ 受験者平均 54.8点  合格者平均 69.2点 (差14.4)

【2017年】

算数Ⅰ 受験者平均 49.1点  合格者平均 63.1点 (差14.0)

算数Ⅱ 受験者平均 48.4点  合格者平均 62.4点 (差14.0)

【2016年】

算数Ⅰ 受験者平均 42.7点  合格者平均 54.8点 (差12.1)

算数Ⅱ 受験者平均 50.8点  合格者平均 61.2点 (差10.4)

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易化すると、受験者平均と合格者平均の差が大きく開きがちですから、算数を得意にしている生徒の方が有利になります。

(算数が不得意な人にとっては、算数の難易度関係なく難しく感じるし、得点できない。)これについては、逆だと思っている人が多い気がします。

 

 

簡単だという感想を持てなかった人は、残念ながら灘中合格レベルには達していなかったのかなと思います。

 

 

さて、では、二日目の問題について、5問それぞれ講評していきたいと思います。

 

 

【1】速さ~へだたりグラフ~

 

固定点Sと、動点A,Bのへだたりを考える問題で、

SとA、SとB、AとBのへだたりグラフを同グラフ内に作図する、という作業さえしてしまえば、何も難しくなかったと思います。やり方さえ伝えてしまえば、標準レベルの小5生でも解けてしまうであろう問題です。

全問確実に合わせて得点源にしてほしい問題です。

 

 

 

 

【2】数の性質~位入れ替え、あまり~

 

近年灘中頻出の、あまりに関する問題です。ただ、内容理解も容易ですしその後の作業も単調で、何のひねりもなく最後まで解ききれる問題です。

ABCDEの5ケタのうちどれかを別の数字に入れ替えたわけですから、

Aを入れ替えたとき、Bを入れ替えたとき、Cを入れ替えたとき、……というように5つの場合をそれぞれ考えて条件に合うように数字をはめ込んでいく、という、これもまた小5生でも出来るだろうなという作業です。

(2)は6ケタにはなりますが、下2ケタの入れ替えはあり得ないことに気付けば、(1)よりも少ない4つの場合(PQRS入れ替え)だけを考えれば良いので、むしろ簡単です。

これもまた、前問確実に合わせて得点源にしてほしい問題です。

 

 

 

 

【3】場合の数~数並べ~

 

こちらも頻出場合の数、ですが、例年と比べるとかなり簡単と思います。ただ、場合の数ですから、どれほど易化と言われようと、ビタッと合わせるのが難しい点は単元上どうしても仕方ありません。

場合の数の戦略は、(1)を必ず合わせる、がスタートです。

きちんと場合分けをして、デジタル時計という条件の性質上注意すべきこと(各位に入ることができる数字)に留意して数えることが出来れば、少なくとも(1)は確実に取れるでしょう。

灘中の過去問を思い返してみても、最後の(3)はどうせ余事象で数える方が良いんだろうなと思ってやろうとしてみたら、特にそうでもなく普通に数えた方がはやいという…何かもどかしい感じがしました(笑)

 

 

 

 

【4】図形の移動~円周の通過領域~

 

作図力が問われます。ただ、そこまで複雑な作図は要しません。動きも単純で、(1)は直線平行移動1回、(2)は直線平行移動2回 となっています。注意すべきは、輪っかの通過領域であって、円全体の通過領域ではないということ。それを読み違えると2問とも落としてしまうので、大変なことになります。(2)に関しては通過領域の求積を、重なりに気をつけておうぎ形と正三角形の面積をどう使用して計算するかという工夫ってところですが、まあどれだけ面倒な計算方法をとったとしても、正解にたどり着けないこともないかなと思います。

 

 

 

 

【5】立体図形~すい体の切断~

 

灘にとってはどれもド定番のものばかり。私も全く同じ図形を含む同タイプの問題について対策プリントで取り扱っていました。最後の(3)は、紐解けば過去問にもある四角すい切断(2:1のところで切る、切り口が等脚台形のもの)と同じ形が登場してくれます。ただ、これは非常に学習効果の高い良問です。灘中受験をこれから考える人にとっては、演習必須です。

 

 

 

 

以上簡単にまとめてみました。

総じて言えることはやはり易化して解きやすくなったという点です。これぐらいの難易度の方が、生徒の選別が適正にできるという考えに至ったのかもしれません。ただ、だからと言って灘中に合格するために学習すべきことが変わったわけでは無いと思います。(というか易化と言っても他学校と比べたら当然難しいです。)

 

過去問から読み取れる出題者の意図や背景を元にした演習、単元別の基礎学力固め、が重要であることに変わりはありません。

 

 

足元を見つめ、コツコツと一つずつ、出来ることを増やしていく。

焦って応用問題ばかり取り組もうとせず、基礎の習得確認に意識を常に向け、その上で培った基礎を意識して応用問題に取り組むこと。

 

 

6年生の一年を通じて、ちゃんと自分と向き合えた人が合格を勝ち取れるのだと思います。

これから灘中を目指す人は、以上に気を付けてこれから頑張っていってください。

 

 

make sense!

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