熊本地震災害ボランティア | 三重県曹洞宗青年会のブログ

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三重県曹洞宗青年会は、禅を挙揚する熱き想いにより発足された二十歳代から四十五歳までの青年僧の集いです。

更新が遅くなりましたが平成28年4月14日に熊本、大分等で相次いで発生した地震を受け、6月13日から15日まで三重県曹洞宗寺院より有志を募り、青年会員を含む9名が熊本でのボランティア活動に参加致しました。

 

 12日の午後に松阪を出発し、大阪・南港よりフェリーに乗船、早朝に門司港に付き、13日の午前に、被災地熊本に到着しました。最初に、永平寺直末の大慈寺に拝登させていただきました。文化財等により手をつけることができず、ご尊顔が落ちたままの仏像は横たわったままです。窓ガラスが割れ、壁に亀裂が入り雨風に晒されたままの建物。灯篭も倒れ、山門や鐘楼堂も歪んだままの境内。被災したその当時のままの悲惨な状況を目の当たりにし、今回の地震の凄まじさを知らされました。そのような状況においても住職の佐藤泰道老師は「よく来てくれた、長旅で疲れただろう」と優しい笑顔をくださいました。その笑顔を見て、なぜか「ほっと」したのを今でも思い出します。

 午後からは、現在は避難所となっている宇城市の『ラポート』という文化センターで現地の熊本青年会の方々と共に、炊き出しや行茶の活動をさせていただきました。この辺りは復興も進み、避難者の数も日に日に減っています。現地の人々と会話をしていると「私たちなんか益城町の人たちに比べたら大したことないよ。益城町の人たちが心配で。」と自らも被災して大変なことに変わりはないはずなのに、他の方々の心配ばかりされていたのが印象的でした。

またこの時、曹洞宗宗務総長釜田隆文老師が現地を訪れられ被災者の方々にお声を掛けられ、またボランティアの面々には激励のお言葉を頂きました。

 14日の午前は益城町にあるボランティアセンターを訪れ、近くの公民館で開かれるサロンにて傾聴活動をさせていただきました。その地区の区長様は「被災してからというもの、みな地方に出て行ったりどこにいるかわからない。疎遠になり、安否すらもわからない。」という情報不足等の心配をされておりました。各地で復興が進み、ボランティアセンター自体も次々に撤退し、これからボランティアに来る方々も減っていく中で、瓦礫等の撤去はできても、被災者の方々の心のケアはまだまだこれからも必要なのだと感じました。そして、人と人のつながりの大切さをしみじみと思いました。

 午後は御船の避難所となっているスポーツセンターでうどんの炊き出しをさせていただきました。そこには全国各地より、復興を願ったたくさんの応援のメッセージが掲げられており、その中に平成23年3月11日に起きた東日本大震災で被災した方々からのメッセージもありました。

 15日の午前は御船にある、障がい者総合支援施設の明星学園にて、同じくうどんの炊き出しをさせていただきました。利用者の方々や施設の教員の方々、たくさんの方々に、おかわりまでしていただき喜んでいただきました。その場は笑顔にあふれ、被災したことを忘れてしまうようなひとときでした。

 その日の午後は益城町の馬水という場所に移動してのうどんの炊き出しでした。そこでは地域の役員の方々や熊本青年会の方々の協力を得て、また地域住民の方々に放送まで流していただき、たくさんの被災者の方々が足を運んでくださいました。うどん玉500食を要し、すごく大変だったことを思い出します。炊き出しを終え、片付け掃除を済ませ、被災された方々、ボランティアを手伝ってくれた熊本青年会の方々に手を振り、陸路にて16日の朝に松阪へ帰ってきました。

 私は今回、初めてボランティアというものに参加させていただきました。今までは、災害等があると心配したり気にはなるものの、気持ちだけで行動に移すことはできませんでした。また、今回の参加においても心のどこかに「かわいそうに。気の毒に。助けてあげよう。してやっている。」というのがあった気がします。

 しかし、今回自ら現地に入り、たくさんの方々とのふれあい、出会いを通して、「してあげているというのではないんだ。助けてあげるのではないんだ。」ということを体得した気がします。そして、共にささえあうことの大切さ、有難さ、本当の意味での人のぬくもりというものを肌で感じることができた感謝の思いでいっぱいです。お釈迦さま両祖さまの説かれる「何の見返りも求めないこころ、布施のこころ、無功徳のこころ」ということにはまだまだだと思いますが、今後も青年会活動、宗門活動の中で実際に身体を動か事を大切に精進していきたいと思います。最後に被災者の方々、共にボランティア活動をした方々、それぞれがいろんな思いの中で、笑顔にあふれていました。感謝致します。

 

記:三重県曹洞宗青年会 伊藤峻悦