まぁ、世間的に言うと「雑草の中の雑草」とも言われる存在でしょう。

牧野博士になると、「雑草なんて言うとはけしからん!」と叱られそうですが・・。

 

 

 「ヤブガラシ」です。  漢字では「藪枯」とか「薮枯」、そして「烏蘞苺」もあります。

 でも「烏蘞苺(うれんぼ)」は漢名です。 根には利尿、解毒の薬効があるそうです。

 ブドウ科、ヤブガラシ属の多年草です。

 

 

 ツル性でどんどん場所を選びません。

 北海道の南西部あたり~九州、南西諸島まで里から、都会から低山くらいまで。

 もちろん日本だけでなく、東南アジア、インドからヒマラヤ山麓、ネパールにもいるそうです。

 

 

 地下に大きな根茎があり、地下茎をたくさん這わせて芽を出して、巻きひげで何でも絡みついてしまいます。

 葉っぱは小葉が5つの鳥足状の複葉です。 でも5枚とは限らずに2つ、3つ、4つ、6つ・・

となんでもありです。

 

 

 そしてなんとも不思議な花が咲きます。近所では初夏の頃から咲き出しています。

 小さな花です。

 第一、ヤブガラシの花なんて・・・って見向きもしませんでした。

 でも、花は花です。 そしてちょっと変わった花でした。

 

 

 花は葉腋から花柄を伸ばして広げる集散花序です。

 そして、まず花びらですが、咲き始めのものは4つありますが、これがちょっと触っただけでト

ポロリと落ちてしまいます。なので咲いているのでも花びらがちゃんと分かるのは少ないです。

 

 

 上のは1枚だけ残っていたものです。

 下のには4つと3つのもあります。

 

 

 花びらと同じく雄しべもすぐに落ちてしまうのが多いみたいです。

 本来なら、花びらが4つ、雄しべが4つ、雌しべが1つです。 

 

 

 花びらが落ちてしまうと、中央にある雌しべが目立ちます。

 雄しべがあると、葯もよくわかります。

 そして雄しべが落ちてしまうと、残るのは黄緑色の「花盤」です。

 

 

 このヤブガラシ、実は蜜がいっぱい・・なので、人には嫌われているのですが、昆虫には絶大の人気だそうです。人を刺す蜂たちもよく来ます。

 ちょっとよく分らない謎があります。

 詳しい図鑑に「関東から北で繁殖しているのは全て3倍体で果実を作れないもので、本州中部以南のには2倍体と3倍体がある」そうです。

 

 2倍体で出来る果実は球形の液果で、熟すと黒くなります。