この植物、ある業界では超有名で、大事、大切、貴重で、いい子されます。
その業界とは「蝶」です。
「キジョラン」です。 漢字で書くとびっくりの「鬼女蘭」です。
ガガイモ科でしたが新たにキョウチクトウ科に移りました。
キジョラン属のツル性多年草です。
多年草ですけど、木質化もします。
暮らしているのは主に関東以西、九州、沖縄、また朝鮮半島の南部にもいるようです。
そして、まず、この植物は有毒植物です。
名前は「鬼女」です。 でもキョウチクトウ科なので、蘭となっていますが、ランではありません。
葉っぱは対生について大きく、しっかりした卵円形で、緑色も濃くて、ツヤがあります。
柄も長く全縁です。
この葉が大切なのです。ある蝶にとって。
その蝶こそ、ある「アサギマダラ」です。
アサギマダラの母はこの葉に卵を生み、2~3齢の幼虫がこの葉をもりもり食べて越冬します。そして、春に目覚めてまたモリモリ食べて成長します。
なので、アサギマダラにとって、このキジョランは食草といわれますが、命の綱です。
花は葉腋に出て、短い柄の先に花序をつけます。
晩夏から11月頃に白っぽい花をつけます。
花はツリガネ型で少し薄黄色っぽい小さな花です。先が5つに分れます。
その喉部に毛があります。
副花冠もあるそうで、5つが直立します。
雄しべは5つ、雄しべは普通花冠の奥の筒部基部にあり、雌しべの柱頭にくっついて、いわゆる「ずい柱」となっています。
本当はこの植物とアサギマダラの関係、毒は大丈夫か・・とか関心がありますが、それよりももっと面白そうなのが、なんで「鬼女」なのか、そして蘭なのか・・です。
で、得意の本題から横にズレますが、
「鬼女」とは何か・・です。
そしたら「一般的には人間の女性が宿業や怨念によって鬼と化したもの。とされます。ただ女性というのではなく、若い女性を鬼女といい、歳をめした女性は・・なんと「鬼婆」です。
すいません・・・私が言っているのではありません・・辞書に載っています。
日本の各地にある古典の物語、説話、昔話、伝説、そして芸能なとによく登場します。
ということは昔から居たのです・・。
その中でも有名なのが・・
①信州・戸隠の鬼無里の紅葉伝説
②鈴鹿山の鈴鹿御前の話です。
他に安達ヶ原の鬼婆(黒塚)は名こそ婆だけど、鬼女とされ、土佐の「土佐お化け草子」の鬼女は安達ヶ原の鬼婆伝説が土佐に伝わって変化したものとされていて、ちょっと別ものだそうです。
①の紅葉伝説とは、信州、戸隠山には鬼がいて、この鬼を平維茂(これもち)が退治する話ですが、この鬼がなんと女性で、その名前が「紅葉(もみじ)」というのです。なんとぴったりの名です。「鬼に紅葉・・・」そんな言葉ないか。
この退治を「紅葉狩り」といったそうです。
②の鈴鹿御前というのは、鈴鹿山に住む伝説の天女・女神のことだそうです。資料では、鈴鹿姫、鈴鹿大明神、鈴鹿権現、鈴鹿神女なととも記され、後世に鈴鹿山の盗賊「立烏帽子(たてえぼし)」と同一視されて、女盗賊とか、鬼、天の魔焔とも言われたそうです。
それで、鬼女というのがこのキジョランについたのは・・・
この果実がとても大きく13~15cmくらいになります。そして蔓からぶら下がるように実り、熟すと弾けて、中から白い綿毛のようなものが飛び出します。
この白い綿毛を鬼女の髪に見立てたことからついたそうです。
それじゃあ、仙人草と同じパターン、翁草とも同じじゃん・・・・。いいの?
鬼女は若い女でも白髪なの?
・・・・謎は深まるばかりです・・・・