昨日のホトトギスでちょっと疲れ気味。でももう10月も終わりですし・・・植物の世界では、山野草のほとんどは冬支度です。

 秋の山野草で、もうひとつ、これも自分にとっての横綱クラス・・です。

 そして毎年書き足していたものと、今年の写真に差し替えたりしました。

 長くなりそうなので、適当にどうぞ・・。

 

 

 みんな怖いもの見たさ・・で大好きな「トリカブト」です。

 キンポウゲ科、トリカブト属の多年草です。

 

 

 世界には100とも300種とも書かれています。でも、日本には33種も自生しているそうですから、日本はトリカブトの世界でも有数の故郷です。

 まずは、みんな大好きな「毒」についてです。

 

 

 この毒は「アコチニン」とか「メサコニチン」というアルカロイド系の猛毒です。

 日本三大毒草です。(ドクゼリ、ドクウツギとトリカブト)、他の2つはあまり知られていませんが、このトリカブトの知名度、人気は圧倒的です。

 この毒の威力はすごく、致死量は約3~4mgだそうで、葉っぱ1枚で足りるとか・・怖ワッッッ・・

 

 トリカブトの仲間は大きくは「レイジンソウ亜属」と「トリカブト亜属」に分かれるそうで、このトリカブト亜属は多年草ですが、塊根があって栄養繁殖体(子根)を残すのですが、母根は1年で

枯れて無くなってしまい。これを「疑似1年草」というそうです。

 後で出て来る「レイジンソウ」の仲間は多年草です。

 

 

 トリカブトと言えば、『花より猛毒』ですけど、減毒すれぱまた薬になります。

 現在では根茎を加熱加圧して減毒して、新陳代謝機能回復、強心剤、利尿剤、さらに生薬と配合して四肢関節の麻痺、虚弱体質、下痢、止血など多くの効果をもつそうです。 

 

 

 漢方では、トリカブトの根を乾燥させた生薬のうち、子根を用いたものは「附子(ぶし)」といい、母根を用いたものは「烏頭(うず)」というそうです。

 

 

 「日本の高山植物」山と渓谷社、山渓カラー名鑑によると

1.トリカブトの花のつくり

  花で最も特徴的なのは青紫色の花弁に見えるもの、しかし、これは花弁でなくて、萼片。

 花弁は萼片の中で外からは見えない。萼片は5つ、上の頂萼片はカブト状で独得の形で「かぶと」と呼ばれる。頂萼片の下にほぼ円形~倒卵形の側萼片が2個あり、その下に小型の下萼片が2個突き出ている。

 

 

 花弁は2個あり、これもまた独特な形をしており、蜜を分泌する器官になっているため、蜜弁とも呼ばれる。・・中略・・・花弁の基部に雄しべの集団があり、雌しべは雄しべの中に隠れている。雌しべはふつう3~5個あり、雌しべと同じ数だけ袋果ができる。
 

 

 トリカブトは低山、里山から亜高山、高山帯にも広く生育しているので、高山植物図鑑に記載されているのは以下の品種です。

「エゾホソバトリカブト」、「ヒダカトリカブト」、「ダイゼツトリカブト」、「ウスバトリカブト」、「リシリトリカブト」、「セイヤブシ」、「タカネトリカブト」、「リョウハクトリカブト」、「ナンタイブシ」、「ハクバブシ」、「ホソバトリカブト」、「オオサワトリカブト」、「ヤチトリカブト」、「キタダケトリカブト」、「ミヤマトリカブト」、「ミョウコウトリカブト」、「キタザワブシ」です。




 トリカブトの分類は専門的で難しいようで、北海道のトリカブトの分類では

①葉っぱの裂け具合や裂片の基部の形状

②花柄に屈毛があるかどうか

③雌しべに屈毛があるか、または無毛か

④花柄と雌しべに開出毛があるかどうか

⑤茎の状態、花序の状態  

 ちょっと別次元なのでプロに任せましょう。

 

 

 

 

 たくさんの種類、品種があって、生息地、環境によって細かい点も相違もあり、分類も難しいとされているので、代表的なものを調べてみました。

 一番は「ヤマトリカブト」です。

 

 

 本州中部から東北に暮らしています。

80~150cmくらいになり、茎の中程につく葉っぱは互生して円心形で深く3~5裂し、その裂片は披針形や卵状披針形で縁には粗鋸歯があります。

 

 

 「オクトリカブト」という品種の変種とされ、花の外側に曲った毛が生え、内側には曲がった毛とまっすぐな毛が生える・・とあります。
 

 

 

 上萼片は僧帽形、側萼片はほぼ円形~倒卵形、下萼片は楕円~長楕円。

 本来の花びらは2つ、他と同じく「イ」の字のような形で上萼片の中に隠れています。

 雄しべはたくさんあり、雌しべはふつう3個。

 そして蜜を貯める距は渦巻のようになっているそうです。

 

 

 で、ヤマトリカブトのモトと言われるのが「オクトリカブト」です。

 で、その「オクトリカブト」を探しました。 

 これは山でしか見られないと少し前まで思っていたのですが、種類によっては里山でも見られるのですね。

 日本のトリカブトで最強の毒をもつと言われるのが、「エゾトリカブト」だそうです。そして、この「オクトリカブト」はナンバー2だそうで・・。

 

イメージ 1

 

 漢字では「奥鳥兜」です。

 この奥は東北の「陸奥」のことです。 北海道~本州中部の山野の渓流沿い、林内、沢筋などで暮らしているそうです。
 

 

 

 もちろん、全草毒で、特に根に多く含まれています。毒は花粉や蜜にも含まれて、この蜜から作ったハチミツにも毒が含まれます。

 名前も有名ですね。花の形が雅楽の舞でかぶるトリカブトに似ているからのようです。一説には鶏のトサカに似ているから・・というのもあるそうです。

 

イメージ 3

 

 トリカブトには葉っぱの形状も大きな特徴です。この葉は掌状に大きく3裂〜5裂して、さらに側裂片が深く2裂しています。なかには5裂しているのもあるそうです。でも、よくわかりませんが、切れ込みのないのもあるそうです。

 

 いろいろな表情のトリカブトたちです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 里山道を歩いていて見つけましたが、ちょっと遠くて・・トリカブトですけど。

 みんな同じに見えるトリカブト。

 猛毒があってみんな「怖わわわわわぃぃぃぃ」と喜んでいます。

 推理小説の中にも使われるし・・・

 

 

  このトリカブトは「ツクバトリカブト」のようです。 と言っても教えてもらったのですけど・・

とにかく、みんな似ているし、これが○○トリカブトってわかるのはとても難しく大変です。

 

 

 最初に上でも書いてしまいましたが、花弁、花びらに見えるものは萼片です。

 烏帽子形の頂萼片が1つ、円形の側萼片が2つ、楕円の下萼片が2つの5枚からなっています。

 

 でも、本来の花弁は萼の内側にあって、雄しべや雌しべの奥にあり、花びらとしてではなく、蜜腺としての機能を果たしているそうです。もちろん、外からは見えませんが・・。

 毎年、花びらを見てみたいと思っていました。

 そして、去年ついに科捜研小屋に1つ任意出頭してくれました。

 

 

 猛毒があるので、恐る恐る・・、直接触らないように、薄手の手袋、ピンセットで・・

 資料では「皮膚を通しても毒が入る」・・とありました。 良い子、好奇心旺盛なおば様、ちょい悪おじさん・・真似しないで・・ってテロップが入ります・・・・・・・

 

 

 上の写真はカブト状の上萼片を外したところです。 

 

 雄しべや雌しべはタイミングがよいと外から観察できます。

 雄しべが沢山あって、雌しべは3~5本です。

 この花の構造を説明するのは難しいです。

 

 

 このツクバトリカブトはあの筑波山で発見されたので、その名前が付けられたそうです。

 北限は青森県南部のようですが、関東地方の野山で多くくらしていようです。

で、このツクバトリカブトをヤマケイの「日本の野草」と「日本の高山植物」で調べようとしたら記載されていません。もちろん高山植物ではありませんが・・、「ヤマトリカブト」の亜種とされていました。

 

 下の写真は花びらです。

 

 

 どうやら、このツクバトリカブトは「ヤマトリカブト」の亜種とされているようです。

 雄しべと雌しべの様子。

 

 

 この花びらを表現するのに、図鑑の多くは「イ」の字型としています。タマに「タツノオトシゴ」に似ているとしているのもあります。

 

 

 花びらとご対面です。

 下の写真の2つあるのが「花びら」です。 そういわれても・・これが「花びら?」って感じ。

 そして左にあるのが蜜を出す「距」です。

 

 

 出来る果実は袋果で、上に雌しべの花柱が残ります。

 

 

 以上は「トリカブト亜属」のふつうのトリカブトたちですが、もうひとつの亜属のほうです。

 

 

 ずっとこれは「トリカブトの一種」だと思って調べもしませんでした。

 でもちゃんと教えてもらい、仲間だけれど、違うとわかりました。

 「アズマレイジンソウ」です。  漢字では「東伶人草」です。

 

 

 このレイジンソウたちは主に西日本に多いそうで、こちらでは主にこのアズマレイシゼンソウになります。

 

 

 キンポウゲ科、トリカブト属の多年草です。

 本州の中部地方~東北地方にかけての山野、森林内で暮らしています。

 別名は「アズマトリカブト」といい、何といっても日本固有種です。


 

 本州の中部以北の山野、高山には「オオレイジンソウ」が暮らしています。これは花が薄黄色です。朝鮮半島や中国、ロシアにもいます。

 

 

 また、アズマがつかない「レイジンソウ」は関東以西の西日本が中心です。どうも花柄などにつく毛の形状が違うようです。

 北海道には「ダイセツレイジンソウ」や「ソウヤレイジンソウ」が暮らしているそうです。いつか逢いにいくよ。

 で、気になる「レイジン」です。「伶人」です。「麗人」でもいいような感じですが、伶人は「雅楽の演奏者」のことです。

 

 

 

 茎はまっすぐに立って、50~100cmくらいが多く、大きいのは150cm近いものがあります。茎の断面は円形またはやや稜があります。下の枝に翼があるようです。

 葉っぱは丸っぽく、5~7つに中裂して裂片に粗鋸歯があります。

 

 

 花は茎の先に総状花序です。5~10個くらい淡紅紫色の花を付けます。花は下から咲きあがります。

 トリカブト属ですから、上萼片(カブト)は長い円筒形、この中に花びらの蜜弁が2つあります。また、側萼片の内部には白く長い毛があります。

 雄しべは多数、葯は紫色です。

 もちろん、全草アルカイド系の毒だらけです。

 

  おまけ・・

 想い出の山  

 8月下旬です。

 この時は大白川ダムから入ったと思います。 

 

 

 避難小屋で一泊しました。

 その近くはトリカブトだらけです。

 

 このトリカブト、名前はわかりません・・

 白山なので、「タカネトリカブト」とか「リョウハク(両白)トリカブト」では・・と思いますが・・。

 開けたところ、室堂近くです。

 

 

山頂から翠ヶ池や大汝峰方面。

 

 山頂から室堂方面。

 

 


 北岳

 

 キタダケトリカブト

 南アの北岳に特産するトリカブトです。