みんな大好き「鬼」です。
鬼は里に多いのか、山に多いのか・・・昔から両派による論争が続いていた?
そこで図鑑の索引で比べてみました。
里は「日本の野草(山渓カラー名鑑)」、山は「日本の高山植物(山渓カラー名鑑)」」です。
日本の野草の掲載されているのは・・
①オニシオガマ、②オニアザミ、③オニウシノケグサ、④オニカサモチ、⑤オニク、⑥オニシバ、⑦オニシモツケ、⑧オニタビラコ、⑨オニドコロ、⑩オニナスビ、⑪オニノゲシ、⑫オニノヤガラ、⑬ヤニバス、⑭オニユリ、⑮オニルリソウの15種でした。
一方、高山植物では、①オニシオガマ、②オニアザミ、③オニクの3種です。
外来種や園芸種は除外されています。
ということで、「里」の勝ちでした。 鬼は里にあり・・
「オニアザミ」です。 漢字では「鬼薊」です。
里で威張っているのは「アメリカオニアザミ」です。
キク科、アザミ属の多年草です。
東北~北陸の日本海側の山地、亜高山の草地に多い、日本固有種です。
見るからに痛そうで、近寄るものに容赦しないと・・威嚇しています。
草丈も1メートル前後ですから迫力もあります。
茎は太く、縮毛やクモ毛が多くあります。
そして葉っぱです。 根生葉と茎葉がありますが、根生葉は花の時期にもしっかり残り、大きさは40~70cmのジャンボ。長楕円形で5~8対くらいに大きく裂け、その裂片にも鋭いトゲがあります。→背の低い動物対策。
茎につく葉は中程のは大きく、上にいくほど小さくなっていきます。その葉も羽状に中裂し、その縁には長く鋭いトゲが・・身を守るように出ています。 茎を抱くようにつきます。
花は頭花。茎先に数個が身を寄せ合うようについています。
また、葉腋からも1つつきます。
頭花は茎頂にあるものから咲いて下に順番に咲き下がります。
頭花の下の総苞は筒状の鐘形で暗紫色、よくクモ毛で覆われて、ネバネバです。
総苞片は6列あります。
一般的にオニアザミは花冠の狭筒部は広筒部の約半分の長さで、裂片は広筒部の半分の長さまたは3分の1程度なのがポイントのようです。
この固有種のオニアザミですが、2つの系統があるそうです。
一つは「尾瀬~三国山系」で、葉が深く裂けて小花の狭筒部が長さ7~8ミリあり広筒部と同も長またはやや長く、総苞片が7~8列のものが多いとされ、「ジョウシュウオニアザミ(上州鬼薊)」と言われます。
もう一つは「鳥海山系」で頭花が鮮紅紫色で小花の狭筒部が広筒部と同長さかやや長く、よく「チョウカイアザミ(鳥海薊)と言われます。
とにかく、アザミは野にも山にも種類が多く、地域ごとにたくさん変種、亜種があって超複雑です。そのなかでも鬼は比較的分かりやすいアザミです。