夏の後半になると里から亜高山までで咲くのが「ツリガネニンジン」です。

 で、このツリガネニンジンが高山で育つと「ハクサンシャジン」と名が変ります。

別名は「タカネツリガネニンジン」ですけど、他にも似たようなのが何種類かあります。

 

 

  この仲間を見る時には、①雌しべの花柱が長く、花冠から突き出ているか、いないか。

②葉っぱは輪生しているか、いないか・・を見て、分かったようなフリをしていましたが、今年も全然わかっていませんでした。

 

 

 で、よく分からないままですが、ツリガネニンジン属について調べました。

 

 まず代表種です。

 「ツリガネニンジン」です。 「釣鐘人参」です。

 

 50~150cmくらいにもなります。枝が細いので、強風などで倒れてしまっているのが多いのです。ハンサンシャジンは高山植物なので、強風の環境なので草丈が低いのですが、ツリガネはすくすく伸びてしまうのです。

 根が白く太っているそうです。全体に毛が生えています。根生葉があって円心形なのですが、花の咲くころには枯れてしまいます。

 茎につく葉は3~5枚が輪生して、上の葉は互生または対生に付きます。葉の形もいろいろのパターンがあって図鑑の写真だけを信じていると混乱します。

 

 

 花は淡紫色の特徴ある細長い釣鐘形です。下を向いて顔を上げてくれません。

そして何個かの花を輪生するようにつけます、何段にも。

 花冠の先は裂けて少し反っています。これはハチなどに来てもらうために、下向きに咲いて、止まりやすいようにしているためです。

 この仲間、他はみんな「○○シャジン」と呼ぶのに、このツリガネニンジンだけがニンジンが付きます。これがちょっと謎。根が朝鮮人参に似ているからのようですけど。 

 

 雄しべは5本です。雌しべが1本で長くて花冠より突き出ています。でも雌しべの長さは長短あるようです。花柱の柱頭は3裂します。

 

 若芽は山菜として食用になります。また、2年以上たった根は紡錘形や円柱状で、これを「シャジン(沙参)」という生薬になったりします。

 朝鮮人参の代用になるというウワサですが、代用にもなりません。

 

  山野草ではよく見ることができるツリガネニンジンの仲間です。

でも、細かくはいろいろな種類があって見分けるのは「自分では本当に大変なのでいい加減です!」で、だいたい適当に言ってます。ツリガネニンジンの弟分だぁ・・って。

  

 ごく普通に近所でも仲間が花壇にいました。

 このツリガネニンジンのことを中国の漢名では「シャジン」というそうです。

 そして山で一番多かったのは

 

 

 「ハクサンシャジン」。 漢字で「白山沙参」です。 

 ツリガネニンジンの新種だと白山で発見されたので「ハクサンシャジン」になったそうです。

 

 

 北海道~本州の中部以北の亜高山帯~高山帯の草地で暮らしています。なので、日本固有種です。

 

 

 ツリガネニンジンの高山型と言われています。母種は「サイヨウシャジン」

 草丈は30~60cm

 葉っぱが3~4枚、希に5枚が輪生して付きます。形は卵状披針形や長楕円披針形です。

 葉の基部近く以外には尖った鋸歯があります。

 図鑑では特徴として、茎の中程につく葉が一番大きくて、上に行くに従って葉は小さくなるそうです。

 

 

 花色は基本は淡紫色ですが、花色は濃いものから薄いものまで幅が大きいのです。

 花は数個が輪生するようについて、何段かに付きます。2~3段が多いようです。

 そして雌しべの花柱が花冠から飛び出るように突き出ます

 

 

 雄しべは5つ、雌しべは1つです。 

 花柱の基部は円筒状の「花盤(かばん)」に囲まれています。

 花盤とは「花托の一部が肥大して雄しべや雌しべの下部を包み込むようになり、その部分が蜜を出すようになったものです(植物なんでも事典より)。キキョウ科の中で、ツリガネニンジン属とホタルブクロ属を区別する大切な器官です。花盤があるのがツリガネニンジン属です。

 

 ハクサンシャジン以外の花盤は杯状になっているので、このハクサンシャジンの特徴です。 

 似た感じの花でそんな高いところではありませんが

 「ソバナ」です。  漢字で「岨花」です。

 

 

 ソバナは本州~九州、朝鮮半島や中国の山地の草地や林縁で暮らしています。

 葉っぱは互生して卵形や楕円状卵形です。周りに粗鋸歯があり、下の付く葉には葉柄があります。花は青紫色。萼片は披針形で先が尖ります。

 

 

 そして、雄しべは5つ、雌しべは1つですが、この花柱は花冠から突き出ません。ほぼ同じくらいです。まぁ、中には元気のいいのがいて、少し出るのもありました。柱頭は小さく3つに分かれます。

 そして、よく分からなくなるのが・・

 「ヒメシャジン」です。 漢字では「姫沙参」です。 

 キキョウ科、ツリガネニンジン属の多年草です。

 

 

 暮らしている場所は本州、東北の南部~中部の亜高山帯、高山帯の岩場です。

 ツリガネニンジンの弟としていましたが、姫なので、今年から「妹」にしました。

の そして、一番重要な情報で、日本固有種です。

 ヒメだけあって草丈は10~40cmです。ツリガネニンジンと比べると半分以下です。

 

 

 葉っぱは多くは互生ですが、図鑑には時には対生につく・・とあります。

 葉の形は披針形で細かい鋸歯があり、先が尖ります。

 花は茎先に青紫色の花を1~数個ややまばらに咲かせます。

 

 

  雌しべの花柱が花冠と同じくらいで少し出るくらいです(確かに花柱が外から出ていないのもありますが、同じ茎からで結構出ているのもあります)。萼片は線形で開出し、縁に細かい歯牙があります。

 

 さらに、分からなくしてくれるのが・・

 「ミヤマシャジン」があります。 漢字では「深山沙参」です。 これはヒメシャジンの変種とされ、萼片が全縁です。ヒメシャジンと区別しない説もあるようです。だったら区別しないで!

20~40cmくらいの草丈で、本州の中部以北の亜高山帯~高山帯で暮らしています。萼片に鋸歯がないのがポイントのようです。

 

 そして、追い打ちをかけてくれるのが・・

 「モイワシャジン」というのがあります。 「藻岩沙参」です。

 

  ※この「モイワシャジン」のところの写真はあやしい?です。

 信じる者は救われる・・で、自分ではモイワシャジンではないか・・と半分思っていますが、

間違っているかも知れません・・。

 

 

  モイワは北海道の藻岩山のことです。北海道と東北の山地の草原や岩場で暮らしています。30~60cmの草丈。葉っぱが輪生または互生し、披針形~卵形です。花色は白や紫色で茎の片側に片よって咲きます。

 

 

 花柱が少し花冠から出るタイプです。萼片は披針形で鋸歯がありません。でも、葉の形や花色に変異が大きいそうです。

 

 あとは特定の山で暮らす特産種ですけど・・

 「ホウオウシャジン」は漢字では「鳳凰沙参」です。 南アルプスの鳳凰三山の岩礫地に特産するイワシャジンの高山型です。

 

 「イワシャジン」は漢字では「岩沙参」です。 神奈川・山梨・静岡・長野の丘陵地~山地の湿気のある岩の間に特産しています。

 

 さらに、北海道には固有の特産種があります。

 「ユウバリシャジン」はもちろん、夕張岳の高山帯、草地です。

 「シラトリシャジン」は雨竜白鳥山に特産します。

 

 こうして、ツリガネニンジンの仲間だけとってもとんでもなく奥深いので・・これは・・難しいので太刀打ちできません。

 

 キキョウ科なので、雌雄異熟で、雄性先熟です。

 出来る果実は蒴果です。

 

 なので、山に咲くところを見て、ただ楽しみました。

 

 

 登山道を半分ふさぐように花が咲いてます。 

 

 

  濃い色のもありました。

 

 

 こんな感じのが多い。

  

 

 そして・・

 

 

 標高1800メートルくらいの登山道に・・

 

 前を向いていたら気がつきません・・。

 近寄ってみました。