これが人気なのは尾瀬のお蔭かも知れません。

 花ではなくて、果実です。 そしてこの花もあまり知られていません。

 「ワタスゲ」です。

 

 

  漢字では「綿菅」です。

 カヤツリグサ科、ワタスゲ属の多年草です。

 

  

 近所にも遠い親戚の仲間はたくさんいます。道端、荒れ地、ちょっとした隙間、河川敷・・

でもこの仲間はヒトから愛でてもらうことはありません。その分、ちゃんと生きて行けます。

 で、なぜか山、高原・・湿原に行くと、みんなに愛されているのです。

 

 

 別名が「スズメノケヤリ(雀の毛槍)」とか「マユハケグサ」です。

 北半球の高山や寒地に暮らし、日本では北海道~本州中部以北の高山帯から低山帯の上部にかけての湿原です。

 

 

  尾瀬などの湿原一面にあると見事で有名ですけど、けっこうアチコチで見れます。

 草丈は30~50cmです。花は5~6月で、なかなか見るのは機会も少なく、有名なのはこの白い綿毛になった時です。

 他のスゲ類ではサギスゲなども知られていますが、このワタスゲほどの人気も知名度あるのはないかも・・。

 

 

 なので、花についてはまた、武田久吉先生の「日本高山植物図鑑」での説明を引用しました。

 「根生葉はやや短く、糸状で三稜形をなし、上部はざらざらしており、先端はあまり尖らない。茎には3か所に節があり、そこにつく茎葉はほとんど葉鞘だけとなっている。花穂は茎の頂に直立してつき、卵形で、長さ2cm弱、濁黒緑色。・・中略・・花被は刺毛に変じ、多数あり、白色である。雄しべは3個、雌しべは1個で、雄しべに先だって熟し、自家受粉を避ける」とあります。

 

 

 この一面の綿毛が爽やかな風にゆりゆられる様子はなんとも・・、時にセンチメンタルな気分にもしてくれます。

 これが人気なのは尾瀬のお蔭かも知れません。

 花ではなくて、果実です。 そしてこの花もあまり知られていません。

 

 

 この綿毛は種子です。

 果実は痩果です。綿毛は種子から出ているものではなく、その基部から伸びています。これは普通の花では萼片や花弁にあたるものだそうです。