道端選手権があれば、この時期のベスト5に入れてあげたいくらいです。これは子供の頃からのお馴染みさんですが、もちろん子供の頃は踏みつけていました。
「イヌタデ」です。 漢字では「犬蓼」です。
タデ科、イヌタデ属の1年草です。
日本全国で逞しく暮らしています。アジアの東部を中心に千島列島から遠くヒマラヤまで暮らしているそうです。
別名「アカノマンマ」「アカマンマ」・・・赤いマンマ(ごはん、お米)。
本物の辛い蓼は「ヤナギタデ」のことですが、よく似たのに「ヒメタデ」「ハナタデ」がありますし、薬用植物園などにある染料で有名な「アイ」も花はそっくりさんです。
今では雑草扱いで踏みつけられている花ですが、昭和10年の東京日日新聞新聞に
与謝野晶子さんらが呼び掛けて「新・秋の七草」を作りました。この時、高浜虚子さんはこの「アカノマンマ」を選んでいます。そして、あの佐藤春夫さんが、与謝野晶子さんらが作った「新・秋の七草」に対抗して、同10年の文藝春秋11月号に出したエッセイ「秋花七種」にもこのアカノマンマを選んでいます。・・・昭和初期にはこの花は文人さんたちには人気があったようです。
草丈は20cm前後が多いですが、群生すると50cmくらいになっています。
茎は赤味を帯びて、下の方は地を這うように横にも広がっています。
葉っぱは互生について、広披針形、披針形で先が尖ります。
托葉鞘がついていて、7~8mmくらいの筒形で縁には長めの毛もあります。
そして花ですが、図鑑では4~11月に咲くとありますが、近所では例年10月中旬から咲きます。紅色の小さい花で、いつ見ても多くは蕾です。
稀に白花があるとか・・
花びらは5つで深裂していていますが、実はコレは萼片です。本来の花びらはありません。
雄しべは8つ、雌しべは1つで柱頭は3裂します。
出来る果実は痩果です。
で、このお馴染みの蓼ですが、かの牧野先生は何か書いているに違いないと思い、調べると・・ありました。
昭和21年に書き初めた「植物一日一題」にありました。・・そこからの引用です。
元来蓼はその味の辛いのが本領であって『秘伝花鏡』にも「蓼ハ辛草也」とある。すなわちその辛辣な味が貴ばれる。そこでこの辛味ある蓼を本蓼とも真蓼ともいっている。そしてその辛味のないものを犬蓼と称する。すなわち役立たぬ蓼の意である。大槻博士の『大言海』によれば、タデは「爛レノ意ニシテ口舌ニ辛キヨリ云フト云フ」と出ている。
小野蘭山の『本草綱目啓蒙』馬蓼イヌタデの条下に「品類多シ野生シテ辛味ナク食用ニ堪ザル者ヲ皆イヌタデ或ハ河原タデト呼ミナ馬蓼ナリ」とある。これでみるとイヌタデとは一種の蓼の名ではなく、すなわち辛くない蓼の総称である。ゆえにアカノママの一つを特にイヌタデと限定した名で呼ぶのはよろしくない。・・・後略・・・。
だそうです。・・先生、すいません。