10月の下旬になると一気に成長したこの花が咲き出します。
でも、いつもは河原一面に咲くのですが、今年は近場の河川敷、一気に刈り取りが行われ、地表を蔽いつくしていた、アレチウリ、クズなどと共にみんな消えてしまいました。
仕方ありません。 別の原っぱへ移動しました。
自分の中では年々イメージというか、評価が高くなっています。昔は「悪者」という誤解をしていた時もありました。
「セイタカアワダチソウ」です。 漢字では「背高泡立ち草」です。
キク科、アキノキリンソウ属の多年草です。
生まれ故郷は北アメリカです。
日本には明治時代の終わりごろに「切り花用・鑑賞用」として連れて来られました。
また、蜜源植物として、戦後に養蜂業者の方が全国各地に植えたとも言われています。
従って、全国各地にこのセイタカアワダチソウが暮らしているのは、みんな人、日本の人が自分たちの都合で植えました・・・。
北海道~九州・沖縄までの全国区です。
でも、現在は、外来生物法で「要注意外来生物」に指定されていて、さらに、日本生態学会からは「日本の侵略的外来種ワースト100」に堂々とランクインしています。
10日前
5日前。
少し前までは、コイツのおかげで日本のススキが虐められて、どんどんコイツに負けて駆逐されている・・と言われていました。
一方、ところ変われば・・なんとやら・・で、このセイタカアワダチソウの田舎のアメリカでは、ススキがどんどん侵略して来て、このセイタカアワダチソウが負けている・・ススキはとんでもない外来種だとされているそうです。
普通は1~2mくらいの草丈ですけど、栄養状態がいいと3~4mにもなるそうです。そんな高く育った群落があったら、さすがにちょっと恐怖感が沸くかも知れません。
葉っぱは互生について披針形で先が尖ります 今まで葉っぱはあまり関心も払っていませんでしたが、3本の葉脈が目立ちます。また、葉や茎には短くてかたい毛があってざらつく感じでした。
花は円錐花序で、舌状花と筒状花から出来ています。
そう、キク科でした。
舌状花は雌性で雌しべがあります。花柱の先が2裂して細くカールしています。筒状花は3~5つくらいあり、両性花です。
キク科の花らしく、5つの雄しべが合着して筒状になっていて、その中に雌しべがあります。 雄性先熟と言われる花です。
出来る果実は痩果です。 冠毛が3~4mmくらいあります。
いつもセイタカアワダチソウで見直しているのが・・・
この花ではよく根から出す「アレロパシー」のことが言われますが、他感作用と呼ばれます。
柴田先生の「植物なんでも事典」によると、
1937年にハンス・モーリシュ(ドイツ)により発見されたそうです。
フィトンチッドと同義のようですが、アレロパシーは作用に対して用いられる言葉であるのに対し、フィトンチッドはその作用を起こす物質のことである。したがって、アレロパシーを起こす物質が広義のフィトンチッドに相当する。
アレロパシーは、自然生態系において植生の遷移要因の一つとされ、また、農業・園芸の分野においては、栽培植物の生育阻害や連作障害の原因の一つとされる。・・中略・・
アレロパシー物質として特定されている物質の例
①クルミが出すユグロン(この物質によりクルミの木の下にはあまり草が生えないといわれる)
②セイタカアワダチソウが出すデ・ヒドロ・マトリカリア・エステル(この物質によりほかの植物の根の伸長が阻害される)
③ハマナスが出すルゴサルA(腺毛で作り出される抗菌物質で、ハスモンヨトウに対し摂食阻害を起こすことでも知られる)
④マリーゴールドが出すα-テルチエニル(殺センチュウ物質で、農業分野でセンチュウの駆除に応用されているだけでなく、昆虫や植物などに対しても阻害作用が強いため雑草抑制も期待できるという)
⑤クロタリアの出すモノクロタリン(ネコブセンチュウに対し抑制効果があり、農業分野で応用されている)
アレロパシーは、必ずしもほかの生物に対しマイナスとなる作用だけではない。その例として、マツの木の下でイチゴを育てるとよく生育し、実の風味もよくなるという。そのほか、共栄作物として次のような組み合わせが、あくまでも経験的にではあるが知られている。
(例)エンドウマメとオオムギ・エンバク、カラシナとソバ、バラとユリ、チューリップとコノテガシワ、ヒイラギとカラマツ。
・・・いやぁぁぁ、植物たちのすごい世界です・・知らないことばかりです。