名前がユニークな花々もたくさんありますが、これもその中のひとつ。

 自分的にはかなりお気に入りの名前です。

 なんと・・「ヒキオコシ」、つまり「引き起こし」です。 クレーンみたいです。

 

 

  シソ科、ヤマハッカ属の多年草です。

 別名が「エンメイソウ(延命草)」です・・どう見ても薬草でしょ。

 北海道の西南部から~九州で暮らす在来種です。他に朝鮮半島や中国にもいます。

 

 

 

 

 

 茎などに細かい白い毛が密生しています。

 花は唇形花で、薄青紫色です。

 

 

 葉っぱは対生について、長楕円形です。

 花は上唇は4裂して中央には色の濃い斑点があります。下唇は少し突き出し、雄しべは4つ、2つが長め、2つは短めです。雌しべは1つで柱頭が2裂します。

 

 

 名前の「引き起し」です。この引き起しは笑えます。昔、水戸黄門の100倍以上、全国各地を行脚したらしい・・弘法大師さんが、とあるところで、修行者が行き倒れているところに遭遇しました。大師さんはその様子を見て、近くにあったこの花の葉っぱを摘んで、この葉を絞り、その絞り汁を倒れている修験者の口に含ませたそうです。すると、あれよあれよという間に、倒れていた修験者が起き上がり、そのまま立って歩き始めたそうです。(誰が見ていたのとか、真偽のほどを詮索してはいけません)

 そこで、この植物の名が決まりました。

 

 そしてヒキオコシの仲間たちです。 

 クロバナヒキオコシ」  漢字で「黒花引き起こし」です。

 北海道~近畿地方の日本海側が多いようです。
 

 

 茎はシソ科らしく四角ばっています。

 そして下向きの細い毛があります。

 だいたい50~150cmくらいになるようですが、倒れているのが多いです。

 

 

 葉っぱは対生について、三角形のような広卵形です。葉先が尖ります。

 葉には鋸歯があり、細かくは疎に毛もあったり、裏面には腺点もあるそうです。
 

 

 そして花です。茎の上部の葉腋から花序をつけて、こんな花が咲きます。

 こんな花といっても小さくて分かりませんが・・・
 

 

 花色が際立ちます。濃い青紫です。

 そして唇形花。

 

 

 上のヒキオコシと同じですが、上唇は4つに分れます。下唇は舟型といわれ、前に突き出る感じです。

 

 

 そして、やはり同じく、雄しべは4つですが、2つが長い雄しべです。

 雌しべは1つで柱頭が2裂します。

 

 

 そして改めてネットなどで調べると、この花には「抗がん物質」があるそうで、「トリコラブダール」というそうです。
 

 

 そして、最後にもう一つ。

  自分にとっては、クスッと笑える名前の植物です。花や植物としての特徴よりも名前で話ができる面白いヤツです。

 「カメバヒキオコシ」です。 漢字で書くと「亀葉引き起し」です。

 

 

 シソ科、ヤマハッカ属の多年草です。

 暮らしているところは意外と狭く、本州の東北地方の南部~中部地方です。海外では朝鮮半島にもいるようです。

 別名が「甲信山薄荷(コウシンヤマハッカ)」です。

 

 

 この茎もシソ科らしく四角形です。そこに下向きの毛が生えています。虫よけでしょうか。

 葉っぱは対生について、広卵形~卵形です。周りに鋭鋸歯があります。そして、この葉っぱの先が3つに分かれ、真ん中が尾状に尖り、面白い形になっていて、亀の尻尾のように見えます。

 

 

 花は唇形花で、上唇は4つに分かれ、下唇は舟形です。 萼も2唇形で、上唇は3つ、下唇は2つに分かれます。

 雄しべは4つ、2本が長い2強雄しべタイプ、雌しべは1つです。

 

 

 で、名前の話のもう一つ。カメバは亀に似た葉のことですが、亀のような葉+「引き起し」です。 そして、この名前を聞いた時「亀葉」を、自分は「噛めば」てきめんに効いて、「引きおこし」だと思っていました。この方が弘法大師さんの偉大さを伝えられるかも・・。

 それにしても、役小角さんとか、弘法大師さんとか、昔の大宗教家は日本中、津々浦々まで出かけて行った大旅行者です。