ちょっと前まではシクラメンというと、大きい鉢に豪華に咲いているのが普通でした。
値段も年内は結構高く売られていました・・が、シクラメンの様子も大分様変わりしているようです。 そして最近はこれが主役みたいです。
 
 「ガーデン・シクラメン」です。 
 サクラソウ科、シクラメン属の多年草です。
 故郷はギリシャ〜トルコ、イスラエルなどの地中海沿岸地域です。
 10月下旬に「原種シクラメン」をアップしました。この原種のシクラメンたちを長い年月をかけて改良して作られたのがコレです。
 
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 シクラメンが日本に連れて来られたのは明治時代ですが、もちろんそれは園芸品種だったようで、この花の名前をつけるエピソードが残っています。原種の時も書きましたが(この原種・・シクラメンという言い方も正しいのですが、野暮ったい、元祖シクセメン、本家シクラメンです。なんか蕎麦屋みたい・・)
 
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 英語で「sоw bread」、つまり豚のパン、豚の餌(球根を豚の餌にした)ですが、これを当時の植物学第一人者のひとり、大久保三郎先生が「ブタのマンジュウ」と訳したのです。これがシクラメンの和名です。花屋さんの前や、花壇で一生懸命育てている方の前で、「綺麗な豚の饅頭ですね・・」って言ってもダメです。
 また、我が牧野先生は、当時の貴婦人の九条武子さんがこのシクラメンを見て「まぁ、かがり火の様な花だこと・・」と言われたのを聞いて「カガリビバナ(篝火花)」と名付けました。
 
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 1996年に埼玉の田島さんが耐寒性のミニ・シクラメン(オランダで育種されたF1のミニ・メイト)を改良してガーデン・シクラメンを誕生させました。
さらに、同年に埼玉県の農林総合研究センターでバイオ技術で芳香があるシクラメンを開発しました。
 1975年に小椋佳さんの曲で、布施明さんも歌って大ヒットした「シクラメンのかほり」、本来は殆ど香りが無かったのですが、20年経って香りのあるシクラメンが作られたのです。
 
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 また、脇道に入って出られません・・
 肝心の花は、ちょっと形がユニークです。花びらが後ろ側に思いっきり反っています。下向きに咲いても上向きに花びらが上がっています。花びらを目当てに来た虫たちは蜜の場所を探すのに迷ってしまうかも・・。
 もちろん、シクラメンの中にも花びらが反り返らないものや、横向きに咲くものもあるそうです。
 
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 花は茎先に1輪、花色の代表は、赤、白、紫、ピンク、そして最近にクリーム色が作られたとか・・
  花びらは5裂し、5枚あるように見えます。萼片は5、雄しべは5、雌しべ1です。でも、雄しべは花冠の付根の所で合着していて短くて外からは見えにくいです。
 葉っぱは根際から長い葉柄があり心形や円形で鋸歯があり、葉に斑が入ります。
 
 で、鼻歌を歌いながら・・探しましょ「♪ 真綿色したシクラメンほど 清しいものはない 出逢の時の君のようです ためらいがちに  ♪」
 おまけ・・で、原種のシクラメンに再登場してもらいます。本当はもう球根で冬眠中です。 これは10月下旬です。
 
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 なんか、大好きなカタクリに似ています。
 
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 原種と言われるものも素晴らしいです。
 質素で清冽です。
 
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