秋の花の代表格になって来ました。でも、知っている限り、この花を秋の七草に入れたものはないようです。それくらいの資格がありそうですが・・資格?。
 それでも・・なんといっても不思議なのが、この花がなぜこんな形になったのか・・です。
 
 
 「ツリフネソウ」です。 漢字では「釣舟草」、「釣船草」、「吊舟草」とも書きます。
 ツリフネソウ科、ツリフネソウ属の1年草です。
 
 
 故郷は東アジアです。日本、朝鮮半島、中国、ロシアの南東部です。
日本では北海道から九州です。山地から低地、水辺まで広い範囲に適応し、時に群落を作ります。
 
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 全体はこんな感じです。花は相対的に小さいですね。草丈は40~80cmくらいです。葉は互生して付き、菱形楕円~広披針形で鋸歯があります。
 茎はやや赤味があり、節が膨らんでいます。
 花は葉腋から斜上し、花序の基には紅紫色の突起毛があります。
 
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 花は5枚の花弁があります。また、距が長く筒状になっています。
 花弁は上に庇状になったものが1枚あります。そして下に大きな花弁が2枚あり、張り出しています。これは大花弁とも呼ばれます。そしてこの大花弁の上に小さい花弁がついています。これは小花弁で、基部で大花弁と合着しています。
 
 このツリフネソウと一緒によく咲いているのが「キツリフネ」があります。後で載せますが、キツリフネの距が長く垂れるのに対して、こちらのツリフネソウの距は渦巻状になっています。
 
 
 さらに大きな特徴は、ツリフネソウ属の花は葉の下に花を付けますが、これは葉の上に咲かせます。
 
 
 花弁は下の2枚が大きく黄色い斑点があります。これは蜜標です。
 雄しべは5本です。花糸は短くて葯が合着して雌しべを大切に取り囲んだ状態になっています。
 
 
 このツリフネソウが最もポピュラーですが、花軸の下に毛のないタイプがあり、「ナメラツリフネソウ(トガクシツリフネ)」というそうです。
 さらに、近畿から九州にかけては「ハガクレツリフネ」という種があります。
 さらにさらに、このハガクレの変種として「エンシュウツリフネ」があります。
 
 さらに、さらに、もうひとつさらに、、2005年に新種が発表されました。「ワタラセツリフネソウ」です。
一般的にツリフネソウに比べて、小花弁の先が黒くなって縮んだ感じなっているそうです。
 
 さて、オマケですが「キツリフネ」です。 漢字で「黄釣船」です。
 
 
 こちらは世界に広く生息しています。ヨーロッパ~ユーラシア大陸や北米。
日本では北海道から九州までで住んでいます。
 なぜか、キツリフネソウって言ってもらえません。なぜ「草」がつかないの?
 
 
 葉っぱはツリフネソウよりやや狭く楕円形に近く、鋸歯があります。
 そして花は葉の下に付きます、距は前述しましたが、巻かずに垂れます。
 
 
 落ちている花を一つ・・・分解してみました。
 
 
 花は花びらが3つ、萼片が3つです。
 
 上の大きいのが「下萼片」で、筒状になっています。
 右の2つが「側花弁」です。
 左の2つが「萼片」です。
 一番下のが「花弁」です。
 乱暴に扱ってしまい、細かい点がよくわかりません・・。
 
 
 ツリフネソウは雄性先熟だそうです。
 資料の説明では「雄しべは5つあってお互いに合着して雌しべの柱頭を囲んでいます。雄しべが花粉を出し終わる頃になると雄しべが外れて、雌しべが出てくる」そうです。
 
 
 出来る果実は蒴果です。