「文学とは、妄想を美しく変容させたものである。」


いい映画と悪い映画の違いは何か?
いい映画と自分との関係はどんなものか?

いい映画というのは、自分の妄想を描いている映画。
自分の欲望が描かれているのを観て
それに共感することで、人は感動する。

特に登場人物間の人間関係。
鑑賞者はそこに自分の理想の人間関係を発見する。
そしてそれは、現実には起こっていない。
しかし映画という現実の中にそれを発見することで
人は安心する。

妄想というのは、実現していない理想のことであり
それを自分以外の人が、映画という形で描いてくれているのを観て
それにより欲望が満たされ感動する。

映画は単なる妄想をそのまま描くのではなく
ストーリー性と芸術性というドレッシングを振り掛けることにより
美しく改変され、見るに値するものとなる。

逆に悪い映画というのは
まさに自分が全く無関心な内容を描いているものであり
「どうでもいい。」という一言につきる。
そこには自分の理想とはまるでかけ離れた世界があり
自分の欲望を素通りしていく。


どんな映画をいい映画と思うかは
自分がどんな欲望をもっているか、ということと直接つながる。