先日、ton-caraにて『藁まぶし作りワークショップ』を開催しました。

編み方を知りたいというお話をたまにいただくことがあり、いつか開催したいと思っていたので実現できて嬉しいです。

 

 

 

 

 

(まぶし)』とは、蚕が繭をつくるときに用意する養蚕道具のことです。その素材が藁で出来ているものが藁蔟です。

 

 

 

 

 

現在の蚕の飼育方法では、蚕が繭をつくる場所として回転蔟(かいてんまぶし)が主流です。回転蔟は、蚕の特性を活かして製糸に適した上質な繭を人間が効率良く得られるように考えだされた道具です。そこには必ず回転蔟に不向きな蚕が一定数出ます。当館ではそうした蚕を藁蔟に入れています。蚕にとっては回転蔟より藁蔟の方が生理的に望ましい環境なので、不向きな蚕もここでは直ぐに繭を作ります。

 

また、現在は養蚕道具を製造するメーカーはほぼ無くなりました。養蚕が最近まで行われていた地域では探せば中古の道具を譲ってもらえる機会もありますが、それも永続的なことではありません。この藁まぶしのワークショップは、これから小規模に養蚕を楽しもうと考えている方に、選択肢のひとつとしてご提案したい内容です。

 

 

 

 

 

さて、藁蔟を編む道具について。

ワークショップ開催に当たっての準備は『製蔟器(せいぞくき)』を復元することから始めました。というのも、当館ではこれまでに古い製蔟器をいくつか入手してきましたが、これは地域によって寸法やピンの数が違うので、それらの古道具を使うことでワークショップの参加者さんに提供する内容に違いが出るのが嫌だったからです。

 

そして、いざ新規に作ろうと動き出すと金具のピンの製造が上手く行きませんでした。市販品で似た形のフックを使うことも考えましたが、実際にこれで編むと滑ったりしてしっくり来ません。このピンを作ってもらえる人を探し気づくと1年半の時間が経っていました。木工部分を含めると最終的には3人の職人さんに係わっていただきました。

 

当館の製蔟器は群馬県で見かけるタイプを元に、少し独自の工夫をしてあります。

藁蔟は蚕箔(さんぱく)という平籠に載せて使用するのですが、四角い蚕箔には大きく分けて2つの寸法があります。それと小規模養蚕を考えている人用に新聞紙サイズを含めた3種類の寸法が編めるようにしました。

 

ワークショップ内で販売をしたところ、有難いことに在庫は残り1台となりました。

 

 

 

 

 

ワークショップの作業風景です。

当館の編み方は、わたしが群馬県内の農家さんに教えていただいた方法を元にご案内しています。

 

 

 

 

 

2回目のワークショップの作業風景です。

どんどん編み進みます。

 

 

 

 

 

最終的にこんな形の蔟になります。

初めて編まれたのに、とっても美しい仕上がりです。

ちなみに、お客さまの膝近くにある藁の固まりは、島田蔟(しまだまぶし)二角蔟(にかくまぶし)です。この編み方も簡単にですがご案内しています。

 

ton-caraの店主フセさんもFacebookにお客さまの感想を書いていましたが、養蚕自体が特殊な事柄になりつつある中、そのための道具をつくるワークショップというのはニッチ過ぎるかな?でも、私自身、養蚕を始めた時にこの編み方はどうしても知りたくて編める方を探しましたし、同じように求めている方はいらっしゃると思います。当館では養蚕ワークショップも開催しているので、その中に組み込みたかったのですが、飼育中は忙し過ぎて無理なので、このような形にしました。

今後も、ご要望があれば開催します。

 

お問い合せは、くらし手仕事舎 ton-cara へお願いいたします。

養蚕ワークショップ(9月の晩秋蚕ワークショップ参加者募集中です)

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