観ようと思って映画館に行ったのに、他の上映映画に魅かれて未鑑賞だった「ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ」。そろそろ映画館での公開も終わりそうなので、慌てて銀座に行って来ました。ベルリン国際映画祭銀熊賞2冠❗️ということでプロの評価は高いんでしょうが、まあいろいろと疑問も残る映画でした。

この作品は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロのひと月後に起きた実話をもとにしたストーリーです。ドイツで暮らすトルコ移民のクルナス家の長男が、旅先のパキスタンで米軍にタリバンの嫌疑をかけられて不当逮捕。悪名高きグアンタナモ収容所に収監されてしまいますが、当時の米独関係もあって警察も行政も動いてくれません。

 

母である主人公のミセス・クルナスはこの息子を救うために、人権派弁護士ベルンハルトとの二人三脚で大奔走。専業主婦ながら家庭よりも息子の解放が最優先の毎日が続きます。支援者の集まりで講演したり、モスクに突撃したり。

 

そして最後は米国最高裁でブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすという、エネルギッシュな母親の息子救出劇として終始コミカルなタッチで描かれていきます。ミセス・クルナスを演じたメルテム・カプタンはドイツでは人気のコメディエンヌだそうです。確かに彼女の演技は、この脚本にピッタリとハマっていました。

 

ただ、グアンタナモ収容所人権侵害ネタをシリアスに描くとあまりにも陰鬱で悲惨な映画になってしまうので、明るく楽しいコメディ風に仕上げたのかもしれませんが、いささかやり過ぎの部分も散見されました。

例えば、ミセス・クルナスが弁護士と渡米する際に支援NGOの計らいで座席がビジネスクラスにアップグレードされた時に、大はしゃぎしてシャンパンを飲むシーンがあったのですが、うーん、まだ息子がグアンタナモに収容中で解放が決まった訳でもないのに母親としてこんなのあり❓

 

そもそも、この息子のパキスタンでの行動や逮捕の背景や状況などが映画の中では全く描かれていないので、米軍の行為の不当性や非道さが伝わってきません。あと、ドイツ社会におけるトルコ移民については、いろいろな差別を始め複雑な問題があるはず。行政が冷たかったのも、このあたりも関係しているような気がしますが、この辺を全く感じさせないちょっと脳天気な展開でした。

 

本作品を観て、やっぱり自分の思いを社会に訴えて行動に結びつける時には、それを可能にする経済的余裕が大事だと痛感❗️ドイツにおけるメルセデスは日本ほどは高級車ではないのは事実だとしても、クルナス家はメルセデス2台を所有していましたから、トルコ移民の中では大成功者クラスなんでしょう。

 

しかもミセス・クルナスは専業主婦だったからこそ息子の救出活動に専念できた訳で、とにかくいざという時にはお金がモノをいうのが資本主義社会です。(息子がカトリック警察に攫われて、救出活動を行っていた「エドガルド・モルターラ 」のモルターラ家も、当時イタリアのユダヤ人の多くはゲットーに閉じ込められていた状況でも、かなり立派な家に住んでおり、英米のユダヤロビーからカトリックに圧力をかけることも出来るような富裕層でした。)

 

この世の中で、人やモノを使って権力と戦ったり、社会を改革したりするには、まずお金が必要なことを今更ながら思った次第です。このことは日野富子を描いた「天下を買った女」を読んでも感じたのですが、長くなってきたので、この本の感想についてはまた後日ということで。。。。

 

 

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今週水曜日は、久しぶり姉と多磨墓地に墓参りに行って来ました。ワタクシ、現在はクルマを持っていないので、普段は武蔵小金井駅からバスで行っているんですが、この日は姉のクルマに同乗させてもらったので、とっても楽でした〜

 

その帰りに別件で国立に行ったのですが、目的のお店は、今話題の完成したばかりなのに解体することになった積水ハウスの10階建てマンションのすぐ近くでした。国立は中高6年間通った街なんですが、50年前と街の骨格は変わっていません。この通りは駅から南西方向に向かう富士見通りという名称の通り、冬の晴れた日には真正面に富士山🗻が綺麗に見えるんですが、確かにこのマンションが出来ると富士山の右半分が隠れます。

 

でも、既に建築許可も得て、建設も完了して来月には入居という段階になって解体することを決めるなんて、常識的には考えられません。すでにかなりの部屋を売却している時期でしょうし。

 

プレスリリースを見ると、「計画当初より日本を代表する山である富士山の富士見通りからの眺望に対しても多くの声をいただき、地域住民の皆様及び国立市とも十分な協議を重ねてまいりました。その中で二回に渡る設計変更を行い、弊社としても地域の皆様に配慮した設計を目指しました。しかし、完成が近づき、建物の富士山に対する影響が現実的になり建物が実際の富士見通りからの富士山の眺望に与える影響を再認識し、改めて本社各部門を交えた広範囲な協議を行いました。その結果、現況は景観に著しい影響があると言わざるを得ず、富士見通りからの眺望を優先するという判断に至り、本事業の中止を自主的に決定いたしました。」とありますが、額面通りには受け取れませんね。

 

そもそも解体費のみならず、販売済み住戸への違約金なども発生して、今期決算にもそれなりに影響するかもしれないのに、決算発表時には何も言わず、決算発表終了直後にリリースする姿勢もどうかと思いますよ。SNSでもいろいろな憶測が出ていますが、まあそのうちに関係者からの内部告発で真相が明らかになるかもしれません。

 

決算発表では上方修正したので株価は上がったものの、この解体報道も影響してその後はダダ下がり。

   

 

実は20年近く前に亡母が新築で作った戸建は積水ハウスだったので、賃貸管理もずっと積水の子会社に任せているのですが、この会社が先月オーナーのメルアドとログインIDとパスワードを漏洩するという酷い事件がありました。(幸い、ワタクシは漏えい対象外だという知らせが先週になってやっと来たんですが)

 

この積水ハウスとはサラリーマン時代にもいろいろなご縁があって、納入業者として3年間担当でお付き合いしていたのですが、納入業者のミスにはものすごい勢いで怒ってすぐに補償を要求するし、普段の値段交渉にも猛烈にシビアな会社です。一方で、7年前には地面師に騙されて55億円も騙し取られるなど、ガバナンスには疑問だらけ。現在は大家として子会社とお付き合いしていますが、とにかく工事費がやたら高くて付き合いにくい会社です(・_・;

 

まあ、そんなこともいろいろありまして、今日の前場で、所有していた積水ハウス株は微益で売却してしまいました。この会社は正直言って闇が多すぎる感じですね。。。