今週は前半の日月はピッキングのアルバイトでしたが、後半の木金は一日中フリーだったので、久しぶりに上映中の映画をいくつか観てきました。そのうちのひとつがこの「エドガルド・モルターラ 」。

 

大学時代の後輩からのおススメだったのですが、“個人の実在の事件をもとに大きな歴史を知ることが出来る作品“ということを聞いていたため、事前にネットでイタリア統一のおさらいをしてから、有楽町に行きました。

この作品は、19世紀中頃のボローニャで起きたユダヤ人の幼児誘拐事件という実話をもとにベロッキオが映画化したものです。あらすじですが、、、

 

ある夜にモルターラ家の6歳の息子エドガルドは生後間もなく秘密裏にメイドからカトリックの洗礼を受けたことを理由に、教皇ピウス9世の命を受けたカトリック警察からローマの修道院に連れ去られて、カトリック教徒としての教育を受けることに。

 

ユダヤ教徒であるエドガルドの両親は、世界中の強力なユダヤ人コミュニティの力を使ってまで息子を取り戻そうと力を振り絞ったものの、教会は一切応じずに時間は過ぎていきます。

 

そして後半、時は経ちイタリア統一運動が進展。ボローニャ市民が蜂起して街が教皇領から解放されると、両親は息子を取り戻そうと神父を相手に裁判を起こし、教皇も死を迎え、イタリア社会も一変します。

 

しかしエドガルドは帰宅が可能な状況になってもカトリック司祭として生き続けて教会に留まり続けます。そして臨終間際の母親に会った際には、ユダヤ教徒の母親に洗礼を授けようとまでするのですが、母親からは「ユダヤ教徒として死ぬ❗️」と拒否されてしまいます。

 

さて、この作品の感想は観る人によっていろいろ思うところが違うと思います。まず宗教的な面からは、一神教の怖さを再認識しました。異教徒が地獄に落ちるという論理を敷衍していくと、親しい人が異教徒のままでいて地獄に落ちることを放置することは悪。ならば正しいことは....という論理的帰結となって、オウム真理教や統一教会のような新興宗教の世界にも繋がっていきます。

 

また政治的には、この頃も凄まじかった欧州でのユダヤ人差別の問題(主人公の一家はかなり裕福な家庭だったことが映像から感じられましたが、当時ほとんどのユダヤ人は環境劣悪なゲットーに閉じ込められていたはず)も見て取れます。

 

大きなテーマは、当時のユダヤ教徒とカトリックの対立でしたが、イタリア王国統一(国民国家の成立)や欧州の近代化といった19世紀のうねりの中で、昔のような絶対的な権力を失いつつあったカトリック教会の最後の「あがき」のようなモノが随所に溢れていました。(今回は完全な悪役となっていた教皇ピウス9世の描かれ方は、あまりにもカリカチュア的でしたが)

 

ただ予習をして行ったにもかかわらず、もう少し宗教的な事実や歴史的な背景を映画の中で説明してくれないとよく分からないというシーンがたびたびありました。ほとんどの日本人は、19世紀半ばのイタリアにおけるユダヤ人のポジションや暮らし方についての知識がないでしょうから、そのあたりをもう少し丁寧に付け加えてくれた方が良かったのではないかな、と。

 

例えば、洗礼は聖職者が行うものだと思っていましたが、本件のように両親の承諾もなくメイドが1人で行った洗礼なんて本当に有効なのか❓あとユダヤコミュニティからカトリック教会への圧力としての、ロスチャイルドや米国マスコミの影響力はどの程度のモノだったのか❓などなど。

 

なお、前半の主人公である子役は、オーディションで選ばれた初舞台ということでしたが、演技や表情が素晴らしかったです。またまた注文になりますが、最初はユダヤのお祈りをベッドの中でも唱えていたのに、教皇や司教に反抗することもなくあっという間にカトリックの生活に順応していった過程をもう少し丁寧に描いて欲しかったですかね。

 

最初はパトリシア・ハーストの誘拐事件のような状況だったのかもしれませんが、心の底からカトリックになるプロセスがなんといっても、この作品の肝でしょうから。。。

 

そしてこの後、シネスイッチ銀座に行き「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」を観ようと思ったら、なんとあの「ラストエンペラー」❗️の上映が始まるところだったので、懐かしさのあまりこちらに行ってしまいました。この映画を観たのは、もう30年以上前。映画館だけでなく、後年テレビ版でも観た記憶。

 

同時に「戦場のメリークリスマス」も上映していたようなので、坂本龍一さんの追悼週間だったんでしょう。「ラストエンペラー」は「エドガルド・モルターラ」とは対照的に、史実よりも見せ方重視の作品でしたよね。

 

ただ、全くの偶然ですが、この2つの映画の監督であるベロッキオもベルトリッチも巨匠パゾリーニの弟子でした。

 

 

 

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さて、ワタクシ、株式投資では、毎週末の日経平均株価と保有資産残高(「MRF+現物株式残高±信用建玉評価損益」)について、いつも翌日土曜日に夫々前週末と前年末対比の増減率をチェックしています。

 

5月17日 日経平均株価:前週末比+1.5%・前年末比+15.9%

                 グロース250:前週末比▲2.7%・前年末比▲10.4%…旧マザーズ指数です。

              保有資産残高:前週末比+0.6%・前年末比+20.1%


今週末の日経平均株価は、前週末比+558円高で38,787円と上昇。4月米消費者物価指数は市場の事前予想より下振れたことで、年内2回の利下げ観測が強まって、米国株はNYダウ・ナスダック・S&P500の3指数がそろって史上最高値を更新しました。そして金曜日にはダウ平均株価は終値で初めて4万ドルを超えました。米国株は強い❗️

 

さて、日本企業決算発表はいつものように悲喜交々でしたが、損保を除いて終了しました。個人的にはまた手痛いストップ安を木曜日に喰らいました💦9260西本Wismettacホールディングスです。

日本食が世界的ブームになっている状況ですから、この会社のビジネスモデルは悪くないと思っており、半年前発表の中期経営計画も分かりやすかったんですが、1Qからいきなり下方修正減配公表じゃあ、、、ちょっとIR担当部門のセンスが無さすぎです。

 

アドバンテストの含み損が大きく減って喜んでいたのもつかの間、この9260西本Wismettacホールディングスは、PERから見ると割安感はあるのですが、どうしようか悩みます。