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惑う市場に税収上振れの援軍
編集委員 滝田洋一
日経新聞 2015.11.9 05:30

 景気がもたつくなかで、補正予算の雰囲気が強まってきた。幸いにも、今年度に入っても税収は引き続き順調に拡大している。日銀の物価見通しは下振れだが、税収は上振れである。市場が国債増発による債券暴落の悪夢にさいなまれずに済むなら、よいことだろう。

 9月の国の税収は3.3兆円で、前年同月比26.5%の大幅増となった。所得税が同30.5%増、消費税が同56.5%増と、威勢良く伸びている。

増加基調にある国の税収
15年度
上期 14年度
上期 前年同期比
増減率
消費税 4.6 3.4 37.3
消費税以外 12.1 11.5 5.5
  源泉所得税 7.3 6.4 15.1
  申告所得税 0.5 0.5 5.9
  法人税 0.6 0.9 ▲33.4
(出所)財務省・税収統計。単位・兆円、%。▲は減。
 4~9月の上期の合計額でみても、税収は16.8兆円と前年同期比で12.7%増えた。なかでも消費税は4.6兆円と、37.3%の伸びである。
 財政を切り盛りするうえで、税収増はひとまず慶事である。でも、首をひねる向きもあるはずだ。世の中の消費はもたつき気味。しかも消費税率を上げたのは2014年4月だった。なのに15年度の消費税収がなぜこんなに増えるのか、と。

 もっともな疑問である。実は、消費税を国に納めているのは、メーカーやお店などの事業者。その事業者の決算期に合わせて、1年分の消費税を納付している。


 その結果、税率引き上げの初年度には、増税前の取引と増税後の取引のウエートが、図表のようなイメージとなる。14年度の場合は、4月決算企業はほとんどが5%税率取引。徐々に8%取引のウエートが高まり、3月決算企業はすべてが8%取引となる。
 対する15年度は最初から8%取引である。だから、年度の上期同士を比べれば、今年度の消費税収がかさ上げされるわけである。

 そこで、消費税を除いた税収を比べると、どうなるか。消費税を除く上期の税収は12.1兆円。前年同期比で5.5%増えている。

 所得税のなかでも、所得税の源泉徴収分が同15.1%増えているのが目立つ。賃上げで給与所得は増えだした。さらに効いたのは、株式配当からの税収増だ。企業の配当金額が増えたうえに、14年1月から配当税率が10%から20%へと引き上げられたため、ダブルで税収を押し上げている。

 その一方で、上期の法人税収は同33.4%減った。ここでは、企業業績が上向いているのになぜ、といった疑問がわくだろう。これは配当に伴う源泉徴収分の税金を払いすぎた企業が、法人税で還付を受けているためである。

この還付手続きは8月末で終わった。9月以降の法人税収は自然体に戻っており、9月だけをみると前年同月比3.0%増加した。

 今年度上期の企業収益は過去最高。下期に天変地異でも起きない限り、実力ベースでみた法人税収は底堅い。要するに、所得、法人、消費の基幹3税の税収は堅調なのである。

消費税以外の税収の伸び率が上期並みとすると
14年度
決算 15年度
予算 15年度
試算
消費税以外 37.9 37.4 40.0
消費税 16.0 17.1 17.1
税収合計 54.0 54.5 57.1
(注)兆円、四捨五入の関係で合計額は一致しない場合もある。試算の前提は、(1)今年度下期も消費税以外の税収が上期並みの5.5%増と仮定し(2)消費税収は当初予算の見積もり通りと置いたもの
 翻って、15年度の税収見積もりは、当初予算段階で54.5兆円。14年度の税収実績が54.0兆円なので、いかにも控えめな数字である。
 消費税以外の税収に限れば15年度は37.4兆円と、14年度決算の37.9兆円を下回る見積もりとなっている。実際の15年度上期は税収が前年同期を上回った。

 仮に消費税以外の税収が、下期も上期並みの5.5%のペースで伸びるとすると、年度では40.0兆円となる。消費税収が当初予算の見積もり通りとしても17.1兆円。合わせて57.1兆円になる勘定である。

 もちろん、自然増収をいいことにした税の無駄遣いは禁物。それでも、税収にある程度の余裕があると認識しておくことは、財政破綻のホラー話に惑わされないためにも、大切だろう。


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