「Xデー」冷静に待つ市場 緩和見送りも混乱少なく?
証券部・小森谷有生
2015/10/29 16:54
29日の日経平均株価は方向感が定まらなかった。米国株高を受けて朝方は高く始まったが、次第に売りに押され下げる場面もあった。大引けは32円高と小幅高。日銀の金融政策決定会合という「Xデー」を翌日に控え、取引を手じまう動きが広がり、売り買いが交錯したもようだ。焦点の日銀会合に向けては冷静な市場参加者が増えている。この日の取引開始前に出た9月の鉱工業生産指数が市場予想を上回り、追加緩和への期待が後退。仮に緩和見送りとなっても「衝撃は小さいのでは」との見方が増えている。
「緩和期待が土壇場でしぼんだ」(国内証券のトレーダー)。9月の鉱工業生産指数は前月比1.0%で3カ月ぶりに増え、3カ月連続のマイナスとみていた市場予想を上回った。低調な鉱工業生産指数が市場の追加緩和期待をあおり、相場が強含むとみていた市場関係者の見立ては外れた格好だ。「日銀は現時点で追加緩和は必要ないと判断するのでは」(三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト)との観測に傾いた。
もっとも、追加緩和期待の後退で売りが優勢になったのは後場中ごろまで。引けにかけてはポジションを中立に戻すため、夏場以降に売られすぎていた銘柄も買い戻しが目立った。代表が機械、資源、素材など中国関連とされる銘柄だ。
この日の終値はコマツとファナックが2%高、伊藤忠商事と三井物産も1%高としっかり。ポジション調整の買い戻しに加え、中国関連とされる銘柄への悲観的な見方も修正されているようだ。各社の決算内容が市場の想定ほど悪くなく「中国景気に対する不安は徐々に和らぎつつある」(内藤証券の田部井美彦シニアアナリスト)という。
市場が予想する今後1カ月間の日経平均の値動きの大きさを示す日経平均ボラティリティーインデックスは、1週間ぶりの水準まで低下した。緩和期待が薄れ、相場の波乱を予想する投資家が減っているためだ。「30日に日銀が動いても、動かなくても影響は限られるのでは」(クレディ・スイス証券のバジル・ダン株式営業本部長)。決算内容を見て冷静に株価の妥当性を判断する業績相場が展開される見込みが強まっている。
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