人民元連日切り下げ 実体経済、悪化止まらず…習政権、成長維持に“躍起”
産経新聞 8月13日(木)7時55分配信
【上海=河崎真澄】中国人民銀行(中央銀行)が12日まで2日連続で人民元の対ドル為替レート「基準値」を引き下げて「元安誘導」の姿勢を鮮明にしたのは、実体経済が想定以上のスピードで悪化しつつあるからだ。中国国家統計局が12日発表した鉱工業生産などの経済指標は、軒並み鈍化した。習近平指導部は構造改革を脇に置く苦渋の選択をして、経済成長維持へ景気対策を相次ぎ打ち出す見通しだ。
中国製造業の生産実態などを示す7月の鉱工業生産は、前年同月比6・0%増と前月から0・8ポイント低下した。国家統計局は「輸出不振」を最大の原因としてあげている。また、国内の消費動向を示す7月の小売り売上高は10・5%増と同0・1ポイント下がった。2桁成長は維持したが昨年7月は12・2%増だった。今年に入り11%を割り込んだ。
このほかにも7月は発電量が2・0%減で、工業用需要の鈍さを示した。中国では、公式な国家統計以上に現場の経済情勢が落ち込んでいる恐れがある。
習指導部は経済成長を低めに抑えながら、痛みの伴う経済構造改革を先行させる「新常態(ニューノーマル)」路線にかじを切ってきた。しかし、改革が本格化する前に実体経済が落ち込む症状が進行。このまま景気低迷を放置すれば雇用情勢に影響し、中国共産党政権が最も恐れる社会不安に結びつく、と強い懸念を抱き始めたとみられる。
元安による輸出増を当面のカンフル剤としつつ、今後は追加利下げなどの金融緩和策や、公共事業の積み増しなどの景気対策を打ち出すことになりそうだ。
ただ、過去の緊急経済対策の副作用ともいえる「影の銀行(シャドーバンキング)」をめぐる不良債権への対策も同時に進めねばならず、中国経済は雪だるま式に問題を抱え込んだままで坂道を転がり始めた。
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