はじめて然別湖の氷上露天風呂に来ると決めたとき、それはまさに冒険でした。凍った湖の上にある露天風呂。マイナス10度や20度の中でお風呂に入るなんて狂気の沙汰。恐怖すら感じました。

 

でも、この絶景風呂に魅了され、5年連続で来たのもまた事実。

 

そこで、めっちゃスペシャルな「然別湖流」氷上露天風呂の入り方を紹介しましょう。

 

ここは外気とお湯の温度差が50度以上。60度を超えることもザラ。心臓をはじめ循環器系に不安のある方にはお勧めしかねます。

 

まず、露天風呂の建物に入ると脱衣場があって、靴を脱いで上がります。土足禁止なのでご注意を。入口の雪靴を見れば先客の有無が判ります。ここは男女混浴です。もし人の気配があれば着替え途中の場合もあるので、声をかけてから入りましょう。

 

氷でできた脱衣場は、当然氷点下。“温かい”時でもマイナス5度ほど。脱衣場の入り口で雪靴を脱ぎ、靴下も靴に突っ込んでおく。

 

着替えるときに乗るウレタンマットが敷かれていますが、半ば凍っていることが多く、足が恐ろしく冷たい。あらかじめ自前でビニールシートなどを用意して床に敷き、その上に立つのがベターです。

 

服を脱ぐ前に、風呂場に持ち込むものを用意。タオル、飲み水、カメラ(撮影禁止じゃありません)など。防水の腕時計があると便利です。ただしカメラは、氷点下でバッテリーの使用時間がゼロ落ちするので、タオルなどにくるむとちょっとマシ。

 

あまり着込んでいると脱ぐのに時間がかかるため、ジャケット(またはコート等)を脱いだら、イチ(上半身は重ね着を一気脱ぎ)、ニィ(下半身はユニクロの暖パンとか)のツーモーションで脱げる服装がおすすめです。

 

混浴ですが、水着OK。全裸も可。脱衣場には、女性のためにカーテンの仕切りもついています。水着なら、ホテルで着替えておきましょう。脱衣から入浴まで、1秒を争うと心すべし。それほど寒いです。

 

ちなみに、入浴時間は安全を考慮して6時30分から22時まで。昼間は混浴で、男性時間が18時から20時、女性時間は20時から22時とたっぷりです。

 

で、裸になったら氷点下の外気にギャーとか、ギエーとか、死ぬー!とか叫びながら、露天風呂へ。床は凍って超冷たい。もし先客がいたら「入りまーす」などとひと声かけておきましょう。

 

露天風呂へ凍った木の階段を昇り、茶褐色のにごり湯に身を沈めます。氷上露天風呂は氷でできているので、掛け湯厳禁です!

 

お湯は42度から44度。冷えた身体にちょっと熱く感じますが、入ってしまえばものの数秒で慣れます。あとはゆっくりとあたりを見まわし、絶景を楽しむべし。

 

晴れの日は、白銀の雪原が目に痛いほどまぶしい。だから全裸にサングラス、というツワモノも。

 

 

濃い茶褐色のお湯は、湖畔のホテル風水から引かれたナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。pH6.3の低張性中性高温泉です。

 

 

もしもお湯が熱いなら、コタンのスタッフに頼めば、凍結湖から切り出した氷のブロックを湯船にドブン!

 

ひと抱えもある天然氷を湯船に入れる豪快さが然別流。加水ならぬ加氷。ブロック1個で約1度ぬるくなります。これなら加水を嫌う温泉マニアも、喜んでくれるはず。

 

 

温泉のパイプは二重になっていて、新鮮なお湯を送るパイプを排湯のパイプが包む構造。これなら熱い温泉が湯船まで冷えずに届くというアイデア。

 

湯船は周囲を氷で囲んだ円形のグラスファイバー製。氷原に土台を設け、その上に湯船を設置しているので、氷が溶けることはありません。この工法にたどり着くまで、何度か湯船を湖底に沈めたという逸話あり。

 

今から35年ほど前、地元の住人が遊びでイグルーを作ったことがきっかけ。冬のあいだ閉鎖していた湖畔のホテルも、年中営業するようになりました。

 

設営にあたるのは全国から集まったボランティアたち。海外からの参加もあり。鹿追駐屯地の自衛隊員たちも。今では国外からツアー客が訪れるようになりました。

 

はじめて氷上露天風呂が成功したのは1991年。開湯30年です。

 

 

そんなお風呂は、湯抜き清掃までおこなう正統派。重装備でお風呂清掃をするスタッフと、裸でのんびる浸かる湯客がいささか奇妙なり。

 

※現在は湯船は1つのみ

 

さて、入浴していて注意しなければいけないのが足音。「見ちゃダメ」と書かれた看板が立ってはいますが、まさか裸の湯客などいるはずがないと思っている観光客が覗きに来ることしばし。

 

足音がしたらすぐ風呂に入って、「入りませんかぁ、いい湯ですよぉ」などと平和的に手をふるのが作法……。時たま「写真撮ってもいいですかぁ」などと、旅の想い出にされることも。ほんとうは覗くの厳禁ですよぉ~。

 

湯気が凍って髪の毛に樹氷を作る。氷の髪飾りは北海道ならではの美しさ。気になる女性はシャワーキャップを持参です。

 

湯から上がる時もコツがあります。湯の中で体をよく温めれば、5分以上外気にさらされても平気。そこで、まずは湯から上半身だけだしてタオルで拭き、次は腰、最後は脚というふうに、徐々に体を露出させて拭きあげてから、脱衣場で服を着る。服はあらかじめ重ね着状態のまま脱いでおくと便利です。

 

お風呂に入りに行くだけなら、吹雪などで天候が荒れないかぎり、服装はそれほど大げさなものは必要なし。保温性の高いダウンの下は、ヒートテックの2枚重ねとTシャツ。下は厚手の靴下、下着、ジーンズ、雪の中を歩けるブーツという具合。できればスノーブーツが好ましいです。厚手の手袋とマフラーは必須です。

 

雪の中をさまよい歩くのではないので、昼間なら30分ぐらいはこの服装で大丈夫。晴れると雪の照り返しがまぶしいので、サングラスはあると楽。

 

氷の湯屋から出て、タオルを片手に岸へと向かうと、ある人からは尊敬のまなざしを送られ、またある人からは、馬鹿だなぁ~という目で見られます。どっちも嬉しい。

 

重装備のツアー客のおばさんに声を掛けられたことも。「あれに入ったの?」

「はい」「あなた、内地の人でしょ?」。つまり本州から来た人、という意味。「今朝、羽田から飛んできました」「やっぱりそうよねぇ」

 

道民からしたら、凍った湖の上で露天風呂に入るなど狂気の沙汰。でも、然別コタンに行って氷上露天風呂に入らないなんて、ディズニーランドに行って、ビッグサンダーマウンテンに乗らずに帰るのと同じ。

 

ちょっと長くなりましたので、ここまで

続きもあります

 

 

 

※このブログは、以前酸性温泉で書いたものを

若干修正してのせています。