最近、日本の言論空間がまた忙しい。
「国際法違反だ」
「危険な前例だ」
「次は台湾だ」
ベネズエラで米国がマドゥロ大統領夫妻を拘束した――
このニュース、感情に火をつけるには十分だったらしい。
でも、凡笑はまず言いたい。
その“驚き方”、ちょっとズレてませんか。
■ まず結論から言う
今回の作戦は、戦争ではない。
そして、台湾有事とは本質的に別物だ。
ここを混ぜると、話が全部おかしくなる。
■ 今回のベネズエラ作戦、何が起きて何が起きていないか
マドゥロ大統領は、米国ではすでに
麻薬犯罪などで刑事起訴されていた人物だ。
米国は今回、
「主権国家を侵略した」わけではない。
やったのは、
👉 自国の司法権を根拠にした身柄拘束
これ、1989年のパナマでノリエガ将軍を拘束した時と同じ系譜だ。
重要なのは、次の“やっていないこと”。
- 国家占領 → していない
- 政権転換の完遂 → していない
- 市街戦・長期駐留 → していない
つまりこれは、
短期・限定・低コストの強制執行
トランプ流に言えば、
「費用対効果のいい仕事」だ。
刺激は強いが、軍事的にはかなり抑制的だ。
■ 中国が本当にショックを受けた理由
中国は即座に強く反発した。
建前はいつもの、
「主権侵害」「国際法違反」。
でも、凡笑が見る限り、
中国が見た“現実”はもっと冷たい。
- ロシアは動かなかった
- 中国自身も何もできなかった
- 国際社会は割れたが、米国は孤立しなかった
要するに、
👉 「大国同士は助け合う」という幻想が機能しなかった
中国が恐れたのは、奇襲戦術ではない。
恐れたのは、また一つ、前例が積み上がったこと
「いざとなれば支援が来る」
その期待が、数字と現実の前に崩れた。
これは台湾以前の問題だ。
■ じゃあ台湾で同じことが起きるのか?
答えは、はっきり NO。理由は単純だ。
- 台湾は民主国家で、国際的正統性がある
- 上陸侵攻には数十万規模の兵力が必要
- 艦艇・航空機の集結は必ず事前に探知される
- 奇襲で終わる話ではない
台湾侵攻は、始めた瞬間に 長期・高コスト・高リスクの全面戦争 になる。
ウクライナを見れば、分かる話だ。
中国が合理的である限り、台湾侵攻は「最後の最後」になる。
■ 一番ズレているのは、日本の議論
ここからが凡笑の本音。
日本では、すぐ話がこうなる。
- 戦争か平和か
- 憲法9条がどうだ
- 軍拡は危険だ
……いや、そこじゃない。
日本が本当に向き合うべきは、安全保障のコスト配分と役割分担だ。
もっと露骨に言えば、日本はいま、
- 中国からは「邪魔な存在」
- 米国からは「コスト分担要員」
- 国内では「何も変えずに平和でいたい」
という、なかなか都合のいい三重構造にいる。
ここで感情論を始めると、一番高くつくのは、だいたい日本だ。
■ 日本が今やるべきことは、実は3つしかない
勇ましい言葉も、恐怖を煽る話もいらない。
必要なのは、数字と設計図だ。
① 継戦能力の可視化
- 弾薬・燃料・輸送力
- 有事に「何日持つか」を把握する
これが曖昧な国は、抑止にならない。
② 産業基盤の分散
- 半導体・エネルギー・海運
- 中国依存度を“気合”ではなく“比率”で下げる
精神論ではなく算数。
③ 米国との役割分担の明文化
- 何をやるか
- 何をやらないか
曖昧さは、もはや抑止にならない。
■ 日本に必要なのは「覚悟」じゃない
今回のベネズエラ作戦から、日本が学ぶことは一つだけ。
強い国は、感情で動かない。
強い国は、数字で決める。
台湾有事を叫ぶ前に、中国脅威論を煽る前に、日本はまず、自分のコスト構造と現実を見た方がいい。
戦争を避けたいなら、一番やってはいけないのは――
感情で安全保障を語ることだ。
凡笑は、今日も
「まず在庫と日数だな」と
電卓を叩いております。
南無阿弥陀仏
