「半島」を観た。
バイオ団地から人をゾンビ化させる謎のウイルスが発生してから4年。姉と甥を守ることができず、香港に亡命していた元軍人ジョンソクは、周囲の差別的な視線のなかで義兄チョルミンから疎まれながらも、付き合いを切らずに生活をしていた。そんななか、韓国に大量のドル札が積まれてたトラックが置き去りになっており、それを港まで持ち帰ってこれたなら大金の半分を譲るという話を持ち掛けられる。ゾンビだらけの半島に戻ることに消極的なジョンソクだったが、いつ香港を追い出されるかも分からないみじめな暮らしを脱却したいチョルミンが乗り気だったこともあり、共に半島に戻ることになる。そこは元は救護部隊だったが、今では無秩序の暴力集団となった631部隊や、そこから逃れた親子など、地獄のような世界のなかで人々の生活が営まれていた。
これはそもそもゾンビ映画なのか。怖がりなのでゾンビ映画をほとんど観たことがないが、前作と比べてもゾンビ映画感は少なかった気がする。身内や自分がゾンビになるかもしれない恐怖、というよりは地獄のような場所から逃げ出す脱出がメインという感じ。
なんといってもカーアクションが気持ちよかった。CG感もすごいし、何があっても壊れないすごい車だらけだったけどまあ楽しかった。あと、子どもが運転しているという非リアリティ加減があのぶっ飛びカーアクションを楽しませてくれた要因のひとつだと思う。ただ、マッドマックスFRと比べるとな~~比べられるもんでもないけどあそこまで寄せてると比べちゃうよ。そんで比べちゃうとやっぱり見劣りするよそりゃ。
なんかやたら音楽とスローモーションで感動させようとしてくるし、主人公が半島に戻った理由に全然納得いかないし(親族といっても義兄やぞ?)、テーマもよく分からない映画だったけど爽快だし楽しめました。たまには、良い奴みんな助かって(何人か死んだけど)、悪い奴みんな死ぬ映画観たいよ。だって現実では権力者はじめ悪徳な奴は死なないからな。
あとカンドンウォンの顔が良い。全体的にリアリティのない話だったけどカンドンウォン全体もリアリティの無い完璧化減だったのである意味バランスよかったぞ。家族と、そこから少し離れたところにいるカンドンウォンという構図は大好きだ。
ジュニが最後に言ってた、ここはそんなに地獄じゃなかったとかいう発言は地獄だった。毎日命の危険におびえる世界は地獄じゃないか?そこに家族がいるかどうかとか関係なくないか?でも、元の世界をそんなに覚えていない子供たちなら素直にそう思ってそうで怖いなぁと思った。
最後に付け加えておくと、この映画は悪い奴が皆死ぬわけではない。最初にトラック持ち帰り作戦を持ち掛けてきた白人のおっさん、お前が死ぬとこ観てないぞ。やっぱり悪の親玉は前線になかなか出てこないので、殺すには少し脚本に工夫が必要ですね。