臣と隆二のマンションへ帰りたくないと言い出したまりあを連れて、直人は自分の住む家に帰った。
「たっくんが首を長くして待ってるよ、帰んないの?」
「こんな顔、見せたくない…」
「どれ?見せて」
まりあの目は赤く腫れて痛々しい。
「泣きすぎたね」
「私、何もかも失ってしまって…」
「いま、もし、なおちゃんまで失ったら…」
「俺はずっとまりあの側にいるよ」
「ずっと?…明日はなおちゃん、仕事入ってるって…」
「仕事は行かなきゃね」
「…」
「どこへも寄らずに帰ってくるから」
「俺が帰るまで、たっくんに読み聞かせしてくれたら、臣と隆二も助かるし、君も気が晴れるんじゃないかな?」
「私、心から笑えない」
「隆臣くんに、こんな顔で接するなんてできない」
「そんなに気になる?」
「子供は真っ直ぐな目で見てるから、落ち込んでたら伝わるものよ」
「そっか」
「じゃあ、俺ん家で一緒に住む?」
「…」
「何も気にしないで、俺が帰るのを待っててくれたらそれで…」
まりあから直人に抱きついた。
「…まりあ」
「なおちゃん、ホントにいいの?」
「いいよ。いずれそうするつもりだったから」
「落ち着いたら私、転職先探すね」
「焦んなくていいよ。しばらくここでゆっくりしてていいから」
「家事は任せてね」
「助かるな。手料理も食べさせてくれる?」
「うん、美味しいもの一杯作るね」
「そして、まりあの傷跡がすっかり消えたら…」
「え?」
「一緒にウエディングドレス仕立てに行こうね」
「なおちゃん…」
つづく
三代目❤夢小説(臣隆編)「冬恋」はホームページで✋
アラカン女子の転職日記&推しメン&一言申すはこちらからどうぞ