直己がドアを開けた。
通路に出て左右を見渡すが人の影は見当たらない。
「誰もいないな」
そのままスタスタと非常階段まで歩いていった。
臣と隆二は反対方向にあるエレベーターの所まで見に行ったが、人っ子一人いなかった。
エレベーターは1Fで止まっている。
直己が2人の元へやってきた。
「やっぱり悪戯かな?戻ろうか」
「はい」
3人揃って玄関を入ると、おかしな光景が目に飛び込んできた。
まりあが隆臣の後ろに立ち、細くて白い手で隆臣を包んでいる。
その2人を更に大きく包み込むように、直人が抱いている。
隆二が思わず口にした。
「うわ!3人羽織みたい」
「こうしてりゃ怖くないだろ?」
「ねぇ!みんなでなにしゅるの?」
「ワクワクね♪」
隆臣だけはみんなの不安をよそに、楽しそうにしている。
隆二が手を伸ばして、隆臣の頬を軽くつついた。
「余計な心配だったね、ご飯食べよ」
「はぁい♪ちゅぎエビさん焼いてね!パーパ」
「おけ」
「じゃあこのまましゅっぱつよ!いっちに♪」
隆臣を先頭にして3人羽織が歩き出した。
「きゃ💦」
「待って待って!たっくん、歩きにくいって💦」
まりあと直人がバランスを崩しそうになっている。
「ちゅいてきてね!いっちに♪」
「すごい行進だな、ははは」
一同が笑顔を見せた時だった。
「ピンポーン…」
また玄関のチャイムが鳴った。
つづく