「まりあは何も悪くない」
「俺はそう信じてるよ」
「なおちゃん…」
「店が混んできたね。GUのSHOP見に行こっか」
「ん」
「マスクしなきゃね…まりあ?」
「なに?」
直人の膝に腰掛けたまま後ろを振り向くと、
直人から軽く唇を重ねてきた。
それだけでまりあの心は溶けそうになった。
直人は何も言わず微笑んでマスクを着けた。
「マスクがね」
「ん?」
「憎らしい」
「そう?じゃ行こっか」
「はい」
二人は固く手を繋ぎ合って、カフェを後にした。
少し後から若い男が店を出ようとして、カフェのスタッフとぶつかった。
「きゃ💦」
「悪い…急いでるんで」
男は振り向きもせずに直人とまりあの後を追った。
つづく