「ここだよ」
待ち合わせ場所のカフェに入り店内をキョロキョロ見渡していると、後ろから声がかかった。
「なおちゃん…出掛けた服装と違う」
直人はソファー席で中腰になり、まりあの腕を持って引き寄せた。
まりあはその勢いでバランスを崩し、直人の膝の上に腰かける形になった。
「キャッ…💦」
直人は何も言わずそのまま後ろからまりあの腰に手を回して、まりあと密着した。
「なおちゃん、誰かに見られたら…」
「大丈夫、柱で死角になってるから、わかんないって」
「彼に何か言われたんでしょ?…ごめんね、私のせいで」
「まりあは何も悪くないでしょ、謝んないで」
「なおちゃん、彼、なんて?」
「んー…今はアイツとの話の内容、言いたくない」
「…じゃあ聞かない」
「うん」
「ねぇ、このフワモコSEVENの?」
「ん?そうだよ、新作」
「帽子も?」
「うん」
「可愛い♪」
「なおちゃんとお揃いにしたい」
「いいよ♪プレゼントしてあげる」
「ほんと?」
「うん、色も選んであげる」
「それはいい」
「ん、どうして?」
「帽子もフワモコパーカーも…」
「なおちゃんと同じ色にする」
「ペア?恥ずかしいね」
「いや?」
「ん~…嬉しいよ♪じゃあそーしよ」
まりあを膝の上に乗せたままでゆらゆら左右に揺れる。
「細くて、今にも消えそうに軽いね、まりあ」
「うそ💦結構重いでしょ?」
「全然」
「このままどこか遠くへ行こうか?」
「え?」
「アイツの手が届かない場所へ…」
つづく