歌番組が終了し報道番組が始まった。
しばらく二人揃ってボーッとTV画面を見つめていたが、いきなり臣がベッドから起き上がった。
「おみ?」
「…腹減った」
キッチンへと消えていく。
「……」
すぐにワイングラスとシャンパンを持ちベッドルームに戻ってきた。
「考えてても現状が変わるわけでもないし…乾杯しようぜ」
「…よくそんな呑気でいられるね」
「ん?呑気ね…」
「きっとアイツの事だから、すぐにここもつきとめて迎えに来るって、そんな気がするから」
ベッドに腰かけている隆二にワイングラスを手渡し、シャンパンを注いだ。
「…なんか、よく知ってるような言い方だな」
「…前にお前とサシで飲んで、お前が酔いつぶれたあの日」
相方のシャツを引き裂いた映像がフラッシュバックする。
「あの日がどうかした?」
「…連絡もしてないのに、俺達がいるホテルにアイツが迎えにきた」
「あの日は…俺がLINEで知らせたんでしょ?」
「俺、ずっと酔いつぶれたお前を介抱してたから言えるんだけど、お前LINEなんてしてなかったから」
「嘘でしょ?ちゃんと履歴が…」
「サシで飲んでる時に携帯いじんな…って俺が注意してから一回もスマホに触れてないよ」
「……」
「なのにアイツはまっすぐ俺達がいるホテルの部屋にやって来た」
「…ホントに?」
「…発信器でも付いてるんじゃないかって、マジに思ってた」
「…あ!?」
「なんか思い出した?」
「そういえば、なんて言ってたっけ…確か
」
「六本木のスタジオにいるときに恭介から電話があって…」
「何かがうまく作動しないって言ってた」
「…ほら‼やっぱりどこかに発信器をつけられてるんだよ」
「…それって」
「ん?」
「どこに行くにも24時間監視されてるってわけか」
乾杯もせずに、隆二はグラスに注がれたシャンパンを一気に飲み干した。
グラスが唇から離れると、みるみる険しい表情へと変化していった。。
to be continued…